『あっ。。高崎です』




『おぅ!どうした?』



どうしたって。。。部長!!!



『あの。。部長から資料を預かってきたんですけど。。今下まで来てて。。』





『まじ?』



『はぃ』




えっ。。引かれてる??



アタシの声はどんどん小さくなっていく。



『602なんでど〜ぞ。笑


俺。。すごい格好してるけど。。』





『あっ、分かりましたっ』



『車は。。。』




『601に置いてて大丈夫だから。俺の車の横な』




『はい。。』




アタシは言われたところに車を置いてエレベーターへと急いだ。


アタシの住んでいるマンションの家賃の何倍だろうと言うほど高級なマンションは中山さんらしい。


部屋の前まで来るとさすがに緊張してきた。




インターホンを押す指に力が入らない。





ピンポーン



その音と中山さんの足音が部屋の中で同時に聞こえたような気がした。




ガチャ



ドアが少しだけ開きその隙間から中山さんが顔を出す。



いつも会社で見る中山さんとは違う感じでかわいかった。



「見すぎっ」


「あっ。。スミマセン」




あまりにも見すぎていた自分が恥ずかしい。


アタシは手に持っていた資料とケーキは中山さんに渡した。




「ありがと」



「じゃあアタシはこれで。」



なんだかここに長い間いたらダメなような気がしてアタシは部屋から離れた。





「高崎っ!!」



「えっ?」



「これ、一緒に食べよ。」




中山さんはニコッと笑ってケーキ箱を指差した。


アタシはその誘いを断れるほど強い意志を持ってはいなかった。