次の日も中山さんは会社を休んでいて女子社員達が心配そうに話ているのが聞こえてきた。


アタシはというとどこか心の中でホッとしていた。


今は中山さんにどんな顔をして会えばいいのか分からない。


今まで無かった男運が今年になって良くなったと言うの?


そうだとしてもそれに浮かれてあっちもこっちもと行けるほどアタシは若くなかった。





「高崎おはよう」


「あっ部長、おはようございますっ」


「お前中山と親しいのか?」



「いゃ。。そんな事ないですけど。。」



「ちょっと急な用で中山の所に届けてもらいたい資料があるんだけど帰り寄ってもらえるか?」





「えっ。。あ。。。はい」






別に届けるだけだし。。。ね。。


アタシは自分にそう言い聞かせて部長の頼みを聞いた。




帰りに中山さんのうちへ寄ると考えただけで緊張する。


仕事に集中できない自分が情けなかった。



そんな思いとは逆に時計の針はどんどん進んでいった。








誰にも気づかれないように部長から資料を受け取り中山さんの所へと急ぐ。


さすがに手ぶらで行くわけにもいかないし途中ケーキ屋さんによっていくつか買って行くことにした。



中山さんはアタシは行くこと知ってるのかな。。


ていうか。。アタシが中山さんのうちを知ってる理由ってもうバレてるの??



そんな事を考えれば考えるほど気持ちが重くなっていく。




それでもアクセルを踏めば前へと進む。



会社を出てからから20分ほどでマンションの前まで着いた。




カバンから携帯を出し中山さんの携帯に掛ける。




アタシがなんて言おうか考える時間もないほど中山が電話に出るのは早かった。