自転車の二人乗りなんて何年ぶりにしただろう。
なんだかとても新鮮でこんなデートもいいと思った。
でもそんな呑気なアタシとは違って海が見える頃陸は完全にバテていた。
いつもは車で通るアタシは正直もう少し近いものだと思っていた。
いくら高校生で体力があるからといってこの距離は罰ゲームでしかない。
「ねぇ??嫌がらせ?」
「・・・ゴメン。帰りはアタシが。。」
途中まで言いかけた所で後悔に変わる。
ダイエットにはいいかも知れないけど明日歩ける自信はない。
陸の方をチラッと見るとにやっとした顔で停めた自転車の鍵をアタシに渡す。
「まじですか?」
「まじっす」
これなら歩きの方がいい。。
そんなへこんでるアタシの手をひいて陸は防波堤の方に走り出す。
「夏はここで花火しよ」
「うん。」
「バーベキューとかもしたい」
「うん。しよ」
そんな陸の言葉にアタシ達はずっと一緒なんだと安心させられた。
アタシはいつか陸は出て行く、今だけの恋愛だとどこかで思っていた。
これから先いろいろ傷ついたり不安になることもあるかも知れない。
でも陸とずっと一緒にいたいと思った。
繋がれた手は暖かい。
そしてそのままアタシは陸に引き寄せられてキスをした。
深い大人のキスではないけど長くて優しい安心できるキスだった。
そっと自分の上着を掛けてくれる陸は十分大人でアタシの胸の鼓動はまた大きく鳴りだす。
「帰ろうっか?」
「うん」
陸はアタシのポケットから鍵を取り先に自転車の方へと走る。
「乗って」
「ええの?」
「ええよ。笑」
「ゴメンね。」
「その代わり。。。笑」