「いってきま~す」


「は~い」



土曜日、和樹さんから呼ばれた陸はアタシより先に家を出て行くことになった。



窓から見えなくなった陸を確認してアタシはキレイ目な服に着替える。


正直胸が痛む。



でも結局アタシは中山さんの誘いを断ることができなかった。



そして少しするとマキが車で迎えに来てくれた。



「陸は?」



「クラブでDJ」



「相変わらず今風の男やなぁ~笑」



「・・うん」



マキのいつもと変わることのない力の抜けた服装にさすがだと思う。



それに比べていつもより力が入っている自分を見て恥ずかしくなった。




「あっマキそこ左」



「はいはい」




時間はもうすぐ19時になるところだった。



店の駐車場につくとこの間ここに来た時と同じいい匂いがアタシ達を包む。


鏡を出して化粧を直すアタシを見てただマキは笑っていた。



そして最後にグロスをつけているところで窓を小さくノックされる。



「中山さん。。。」



そう呟くアタシをよそにマキは運転席から助手席の窓を開けた。



少しずつ下がっていく窓にぎこちなくなったアタシは中山さんと目が合わないようにわざと遠くの方を見る。




「初めまして。竹本マキです。」



そう自己紹介するマキはやっぱり堂々としていていつも通りだった。



「初めまして、中山です」




「はいっ。噂はアズから聞いてます。笑」



「え~どんな風に聞いてる??笑」




今ここでマキに余計な事を言われては堪らない。



アタシはドアを開けて車の外へと出た。




そして店の方へと近づくとドアが開き笑顔の亮さんが出てきた。



そんな亮さんを見て中山さんも店の中へと入っていく。




危ない危ない。。




「も~マキ!!中山さんに余計な事言わんようにしてよぉ~」




「分かってるって。笑


 陸の事は内緒にしとくから」