「アズさーん。」
陸がアタシの顔をのぞき込む。
アタシはそれをそらすように冷蔵庫からレモンを取り薄く切り始めた。
「また指切らないようにね。笑」
陸はそれだけ言うとみんなの所へと戻っていった。
中山さんとの事を聞かれると覚悟していたアタシはなんだか拍子抜けして陸の後ろ姿を見ていた。
5人分のケーキと紅茶を運び陸の隣に座る。
マキは紅茶には目もくれずケーキをビールで流し込んでいた。
その光景を見て驚きを隠せない少年はフォークを持ったまま固まっていた。
「陸これを一般的な大人の女やと思わんように。笑」
遙の言葉に全員が無言で頷いた。
「陸はどんな女がタイプなん?」
マキはみんなの話を完全にスルーして陸を捕まえる。
「タイプ?うーんアズさん。」
「。。えっ?洗脳された?」
マキ以外はアタシと陸の関係を分かってるせいかただ笑っていた。
ここでマキに隠して後でバレると余計にややこしくなる。
「あのーマキに言わなあかん事が。。。」
遙が息を呑んで大丈夫?と言った顔でアタシを見る。
そして大きく息を吸い込んで言おうとした瞬間にマキはトイレへと駆け込んだ。
ええぇぇえ〜!!!
「あかん、無理。言われへん。」
そんなアタシの気持ちを知らずにトイレからはマキのうめき声が聞こえてきた。