涼は、料理が得意だ。



将来は、レストランを開くつもりだと言って、笑っていたっけ。



「何してんだよ、いくぞ?」



「ああ、うん」



部屋から出て行く涼を、私もすぐに追った。



「今日は何作るの?」



「うーん、グラタン?」



涼の大きな手が、私の頭をくしゃくしゃと撫でる。
 


私の癖っ毛が彼のお気に入りらしい。



「今日もいい癖っ毛だな」



「誉めてんの?」



強気でいい返せば



「さあな」



彼はニヤリと口角を上げた。