ネックレスの箱を、涼の目の前に差し出す。


「え?何、これ」


「誕生日プレゼントに決まってるでしょ?」


教えても固まり続けている涼の手に、箱を押し込んだ。


「誕生日おめでとう、涼」


涼から最高の笑顔が零れて、


「ありがとう、瀬那」


言葉と一緒に涙が落ちていった。


‥‥涼が、泣いた。


私の思考回路は、停止して役に立たなくなった。


涼の涙を拭うことも出来ない。



箱を2人で握りしめたまま。


「ごめん」


涼の一言が私を動かした。


「なんで謝るの?」


「泣いてごめん」