本当は、もっとロマンチックに渡そうと思ったのに。


でも、まぁ、いっか。


涼の手を引っ張って、早足で歩き出す。


「今度は、どこ行くんだよ?」


「秘密だよ!」


せめて、あの場所で渡したい。


私と涼が出会った、あの場所で。


私達の思い出の場所で。




しばらくして、あの場所に近くなると分かれ道が多くなった。


あれ?次はどっちだったけ。


仕方なく、立ち止まる。


どうやって行ったのか、忘れてしまった。