コンビニといってもこの田舎町には1軒だけ。
ショッピングモールがあるけどこのコンビニは24時間営業ってヤツ。
「樹里、何が好き?」
コンビニに着き樹里に聞く
すると樹里はデザートのコーナーに行きシュークリームを指差した
「甘いもの、好き?」
樹里は笑顔で頷いた
《おなか空いた》
そういえば、何も食べずに遊んでたな。
おにぎりでも買っておくか。
樹里が食べなきゃ俺が食べるし。
ある程度の物を買い支払いを済ませる
樹里も何か買っていた
《お金…》
「良いよ。気にすんな。俺が出す」
俺は樹里の頭を撫でた
「じゃあ、行くか。それほど遠くないから直ぐに着く」
俺は樹里を連れて帰宅したのだった
初めて会った
君のお姉さんは
とても優しくて
綺麗で可愛い人でした
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冬華と大翔とお買い物
怖かったけど、2人のおかげで外に出れたし楽しめた
本当は外に出るのも怖くてどうしようって思った
だけど、大翔が落ち着かせてくれたおかげで時間は掛かったけど外に出れた
冬華と出掛けるなんて初めてだったし好みも一緒でお揃いの物も買った
部屋を可愛くするための雑貨も冬華と一緒に選んだ
洋服だって見れたし。
こんなに楽しい時間を過ごしたのは初めてだった
今は冬華と別れて大翔と一緒
帰らなきゃいけないけど、帰りたくなかった
だから、《帰りたくない》って書いたら急きょ大翔の家へと行くことになったんだ。
コンビニで買い物して行く
大翔が買い物をしている間に飴を購入した
フルーツの飴
なかでも、イチゴ味とピーチ味が好きなんだよね
「樹里、行こうか」
大翔はあたしのペースに合わせて歩いてくれる
今まではそんなことなかったな…
みんなさっさと行っちゃうし
「樹里、キツくないか?大丈夫?」
あっ、いけない。
考え事してた…
あたしは“大丈夫”という意味も込めて頷いた
「もう少しで着くからな」
あたしの頭を撫でて優しく微笑んだ
やっぱり優しいな…
あたしに対して優しくしてくれた男の子大翔が初めてかもしれない
「樹里、着いた」
大翔は一つの5階建ての新築のアパートの前で立ち止まった
「此処の2階の右端が俺の部屋」
大翔は丁寧に教えてくれた
「行くか。荷物置いてゆっくり休もう」
そして、大翔に付いていく
アパートでこんな田舎町なのにセキュリティーもしっかりしている
「ただいま」
「あっ、お帰り」
中からは綺麗で可愛らしい人が出てきた
あたしは此処に居たらいけない
そう思って大翔から離れ帰ろうとした
「樹里、待て。帰るな」
と言って引っ張られ大翔の腕の中にすっぽり収まった
「誰?この子。めっちゃ可愛いんだけど。」
女の人は大翔からあたしを離して抱きしめる
「姉貴、止めて。樹里、びっくりしてるから」
と言って再びあたしを抱きしめた
……ヤバい、恥ずかしい
多分、あたし真っ赤だ
「お前がこんなに独占欲丸出しなの初めてだよね」
「悪いかよ。樹里は俺のだ」
彼女じゃないのにその言葉言うの止めて。
と言えたら良いのにな。
「貴女、樹里ちゃんって言うの?」
女の人の問い掛けにあたしはビクビクしながら頷いた
「とりあえず、中入れて。樹里、疲れてるから」
大翔は女の人に荷物を持たせあたしを部屋へと案内してくれた
《大翔、体温計貸して》
大翔はボードの文字を読むと体温計を貸してくれた
身体がダルい
----ピピピピ
音がなったので体温計を取り出す
……37度5分
やっぱりね。
「樹里、体温計…貸して」
体温を知られたくなくて消そうとしたら無理やり大翔に取られた
「熱あるじゃん。大丈夫か?」
あたしは素直に首を振る
「とりあえず、寝転がると良いよ。そこのベッド使いな」
大翔はあたしを自分のベッドに寝かせてくれた
ふかふかで気持ちいい
「さっきからその子話さないけど、なんで?」
「姉貴、その言い方止めろ。樹里が不安になる。その前に自己紹介すれば?」
そういうと女の人はあたしに笑顔を向けた
「大翔の姉の相馬七瀬です。宜しくね」
この人、大翔のお姉さんだったんだ
相馬七瀬(ソウマナナセ)さん
綺麗で可愛らしい人
笑った顔が大翔とそっくりだった
《寺田樹里です。声が出なくて話すことが出来ないんですが宜しくお願いします》
と書いたボードを見せて自己紹介をした
「樹里ちゃん、可愛いわね」
七瀬さん、本当に綺麗だな。
「姉貴の大好きなチョコレート買ってきたけど?」
「チョコ?居る!!」
“チョコレート”と聞いた七瀬さんの目が輝いた
「…ったく。チョコレートには目がないな。」
「このチョコレート美味しいんだもん」
「樹里は?シュークリームどうする?」
今は食欲ないや。
《今はいらない。後でゆっくり食べる》
「じゃあ、冷蔵庫に入れとくから食べたくなったら言えよ」
あたしは小さく頷いた
「大翔が女の子に優しいなんて初めてね」
「樹里はそこら辺の女達より可愛いね」
サラッと言ってのける大翔
聞いてるだけなのに恥ずかしい
「樹里、ゆっくり眠ると良いよ」
そんな大翔の声が安心出来て直ぐに眠りに就いた
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誰かに撫でられてる気がする
物凄く安心出来る
この温もりが欲しかった
安心出来る温もりが…
あたしはゆっくりと目を開ける
目の前には大翔の姿
「起きたか?」
あたしはゆっくりと頷く
久しぶりにぐっすり眠れたかも…
でも、今何時だろ?
《今、何時?》
「もうすぐ8時」
あっ、家に帰らなきゃ…
お父さんに心配掛けちゃう
起き上がり立とうとしたがフラフラした
「樹里、まだ本調子じゃないだろ?直樹さんには俺から連絡しといたから心配ない。遅いから泊まってけ」
お父さんには連絡してくれたんだ
……良かった
って、感心してる場合じゃない
《泊まっていけってどういうこと?》
「そのままの意味。今日は遅いからな」
大翔はしれっと言い返した
《着替えとかないよ?》
「それは大丈夫。姉貴が用意してるから」
大翔はテーブルの上を指差した
そこには可愛らしい紙袋が乗っていた
「だから、心配ない」
《迷惑じゃない?本当に大丈夫?》
「迷惑だったら世話なんてしねーよ。こんな風に誘ってもない」
……そうなんだ。
「姉貴以外で此処に入った女は樹里が初めてだ」
《初めてがあたしで良いの?彼女さんに怒られない?》
大翔は渋い顔をした
「樹里だから良いの。それに俺、彼女なんて居ない」
人気者だから彼女居そうなのに
「お風呂入って来い」
促されるままお風呂に入った