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ぶらぶらしていると勇悟の携帯がなった
「はい」
勇悟は電話に出ていた
「大翔に?代わる」
勇悟は俺に携帯を差し出した
「俺…?」
「奈那。焦ってる」
奈那?焦るくらい急ぐ用事?
「大翔くん!!今何処?」
「今、ショッピングモールに居るけど?」
「樹里が軽い発作起こしたの!!」
「はっ?今何処にいる?」
「屋上の自販機が4つくらい並んだベンチに居る」
それだけ聞くと電話を切った
「大翔、焦ってどうした?」
勇悟は不思議そうに聞く
「樹里が発作起こした」
急いで行かなきゃだ
「場所は聞いたのか?」
俺は小さく頷いて屋上を目指した
「大翔くん!!こっちこっち」
奈那が手招きをして俺を呼ぶ
「樹里、大丈夫か?」
奈那に膝枕された状態で樹里は寝ていた
「発作はすぐに治まったんだけど…。どうして良いか分からなくて。」
「樹里、一時眠ると良いよ。夏祭り、行きたいんだろ?」
俺の言葉に頷く樹里
“夏休み何する?”って聞いたら“夏祭りに行きたい”って言ってたし
「樹里、背負うから荷物頼む」
荷物は奈那と勇悟に任せて樹里を背負う
「無理はするな。寝て良いからな」
しばらくすると“樹里は寝た”と勇悟が教えてくれた
「樹里、大丈夫だよね?」
心配そうに呟く奈那
「大丈夫。多分、疲れからだし。暑さにも負けたんだよ」
樹里は案外暑さに弱いみたいだからな
樹里を背負ったまま家へと帰る
家に着くと樹里をベッドに寝かす
そして空気の入れ替えの為に窓を開ける
時間次第ではクーラーをつけずに窓を開けてるだけで風通りが良い
だから、クーラーをつけずに過ごすことも多い
「樹里、大丈夫だよね?」
奈那はよっぽど心配なんだな
「大丈夫。外に出すことも必要だけど休ませることも大事」
樹里の体調はまだ1日外に出てるのもキツいはず。
やっと、身体が馴れて来てるんだ。
無理に外に出すことも良くない
「奈那、樹里に会えたのは嬉しいだろうけど、樹里の身体のことも考えろよ」
勇悟の言葉にシュンとする奈那
樹里も奈那に会えたのは嬉しいはず
樹里は夏祭りに行くギリギリまで眠っていた
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樹里の調子も戻り奈那は嬉しそうに樹里の髪型を作っていた
本当に樹里と居るのが楽しいんだな
この光景でさえも嬉しく思える
「やっぱり女子だな」
「いいじゃん。楽しそうで。奈那が彼処まで楽しそうにしてるのは久しぶりだよ」
勇悟はコーヒーを啜りながら呟く
「よし、出来た。」
樹里と奈那は隣の部屋から出てきた
普段、おろしてることの多い樹里の髪
でも、それが綺麗に巻かれていてハーフアップでまとめられていた
おろしてるのも好きだけど、たまには違った髪型も良いな
いつもと違う雰囲気でドキッとする
俺たちは夏祭りが行われる神社へと向かった
神社へ向かうと人でごった返していた
まぁ、夏祭りだから当たり前か。
「樹里、離れんなよ?」
見失ったら大変だ。
樹里は俺の服の裾を握って来た
「それじゃ、はぐれそうだからこっちな」
俺は小さな樹里の手を握る
恋人繋ぎで握ったから顔を真っ赤にする樹里
「奈那と勇悟の写真、撮るんだろ?」
カメラはしっかりと持って来てる
「大翔くん、樹里ー?置いてくよ」
奈那が手招きで俺らを呼ぶ
「行くか。せっかくだから楽しもうな」
頷く樹里を見て奈那達と合流した
「樹里、かき氷食べよ。何が良い?」
《いちご味》
奈那の問い掛けに筆談で答える樹里
「おじさん、いちごのかき氷2つお願いします」
2人の代わりに俺が頼む
「はいよ。いちごね」
威勢の良いおじさんが笑顔で受け答えてくれた
「お嬢ちゃん、練乳は?」
「樹里、奈那。練乳掛けるか?」
2人は笑顔で頷く
「もしかして、直樹のとこの娘かな?」
俺たちはおじさんの言葉に首を傾げた
《お父さんのこと、知ってるんですか?》
樹里はボードに書いて見せる
「やっぱり、樹里ちゃん。可愛くなったな。ずい分昔だから俺のこと覚えてないか」
おじさんは寂しそうな顔をした
樹里は一生懸命思い出そうとしてる
《いちご飴のおじさん!!》
「思い出してくれたか!!良かった。帰って来てたんだな」
樹里はおじさんの言葉に頷いた
この2人は知り合い?
しかも、“いちご飴のおじさん”ってどういうこと?
「直樹は元気か?」
おじさんの問い掛けに頷く樹里
「久しぶりに会えたんだ。今日はサービスするよ。」
《ありがとう》
「ショッピングモールの中に移転したから遊びに来てな」
おじさんからかき氷を受け取り歩き出した
「樹里、知り合いなの?」
奈那は不思議そうに聞く
《駄菓子屋のおじさんで昔、良く遊んで貰ってたの》
だから、親しいんだな。
「かき氷、美味しい」
奈那も樹里も美味しそうに食べる
《大翔も食べる?》
「樹里が食べさせてくれる?」
俺が言うと顔を真っ赤にした
「樹里、かわいー!!」
本当、顔を真っ赤にした樹里は可愛い
「樹里、ちょうだい?」
俺が言うと顔を真っ赤にしながら食べさせてくれた
「ん。美味い」
暑い時期にはちょうど良いな
樹里はというとまだ顔を真っ赤にしている
「大翔、焼きそば買いに行くけど…」
「食べる」
「じゃあ、買いに行ってくる」
勇悟は財布を持ち焼きそばを買いに行った
「勇悟は人込み平気だからスタスタ行っちゃうんだよね」
「奈那は人込み嫌いなのか?」
奈那は小さく頷いた
俺も人込み好きじゃないけどな。
「はい。買ってきた」
勇悟はすぐに戻ってきた
「早かったね」
もう少し時間掛かるかと思ってた
「思ったより空いてたからな」
袋から焼きそばを取り出すと俺たちの分を渡してくれた
「とりあえず、座ろうよ」
神社の境内の誰も居ないところを探し休憩することにした
----ポンポン
叩かれてる気がして振り返る
すると樹里がボードを見せてきた
《階段のとこ、花火が良く見えるよ》
「階段?」
樹里は数メートル先を指差す
少し入り込んだところに階段が見えた
奈那と勇悟は下の段、俺と樹里は上の段に座る
《此処ね。小さい頃、冬華と走り回ってたんだ》
思い出の場所か。
「そうだ。勇悟、樹里と写真撮って」
せっかくだから写真撮らなきゃな
腹ごしらえをしながら花火が打ち上がるまで写真を撮ったりして楽しんだ
-----ドンッ
「花火、上がり始めたぞ」
「本当、樹里の言うとおり綺麗に見えるね」
何も邪魔するものがない
何気ないことが思い出になるんだ
俺たちは打ち上げ花火を堪能して夏祭りを楽しんだ