【更新中】キミの声、聞かせて

「樹里はあたしの親友だよ?末永く仲良くして欲しいな。」


本当に親友と呼べるのは樹里だけ…


おばあちゃんになっても樹里と仲良く出来てたら良いな。


「大翔くんも大事だけど、あたしにも頼って欲しいな。」


《もちろん。ありがと》


「今日は寝よ?明日は一緒にお出掛けしようね」


樹里は笑顔で頷いてくれた


いつまで居るかは分からないけど、樹里に会いに来たからには樹里との時間を楽しみたい


「発作起こしてそんなに時間経ってないからゆっくり寝てね」


樹里には無理して欲しくない


《奈那、おやすみ》


口パクで言ってくれた樹里


なんて言ったかちゃんと読み取れた


「樹里、おやすみ」


あたしはしばらく樹里の寝顔を眺めていた。
大翔*side

君を見てると落ち着く
君と居ると安心する
俺の生活は君を中心に
回っているんだ。
“君を支えたい”
その気持ちは
最初の頃から
変わってないよ


樹里*side

親友と再会出来たのも
君が居たから。
君のおかげで
前に進めた
君と一緒に
たくさんの思い出を
作っていきたい
良いことも悪いことも
君と一緒なら大丈夫。
再会した君の親友は

何処か君と似ていて

間違えそうになる

だけど、君が

信頼しているのは

観察していて

良く分かった。

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風呂から上がると樹里と奈那はベッドの上にいた


奈那は樹里の頭を撫でていた


こうやって見てみると奈那が姉で樹里が妹のようだ


「あっ、大翔くん。お帰り」


奈那は俺の存在に気づき出迎えてくれた


「樹里、寝たか?」


「あっ、うん。ついさっきね」


なんか奈那、安堵した顔してる


「樹里と打ち解けたみたいだな」


「少しはね…。離れてた時間が長いから埋めるのに時間が掛かるかも」


「奈那と樹里なら大丈夫。」


お互いがお互いを想い合ってる2人なら……。
「そうだと良いな。樹里、元気そうで良かった」


「さっきみたいに発作起こしたりするけど…。最近は落ち着いてる方だな」


発作起こしたのは久しぶりかもしれない


「良く笑うようになってるし口が動いてる」


最近までは口を動かすことすらしなかったな。


「樹里が口を動かすと調子が良い証拠だよ」


樹里を観察してれば良く分かってくる


「あっ、奈那。樹里の誕生日に知り合いの家で誕生日パーティーする予定だけど、来る?」


樹里が寝てる間に聞かなければ…


「あたしが行って良いの?」


「もちろん。奈那の担任の先生の教え子でその人両親の同級生の家なんだ。だから、聞いてみればOKしてくれると思うよ」


奈那はびっくりした顔をしていた
「それに奈那が居た方が樹里も喜ぶ」


冬華や琴音と居る時間も大事だけど…


やっぱり今は奈那と居る時間が大事


やっと会えた2人なんだから。


「じゃあ、担任に聞いてみるね」


「あぁ、このことは樹里に内緒で。」


サプライズした方が楽しくなるだろう


「あの先生のことだから良いって言ってくれると思うけど…。樹里のことしっかりと受け入れて我が子のように可愛がってたから」


どんな先生か会ってみたいな。


「奈那も疲れただろ?ゆっくり休んでな」


奈那にそれだけを告げると俺は後片付けをする


そして再び戻って見ると奈那も眠っていた


樹里を探しての長旅で疲れたんだな。


……にしても、2人の寝顔そっくりだ


2人が寝ても広いベッドに俺も寝転がって樹里の隣で眠った
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目が覚めると2人はまだ眠っていた


奈那が樹里を抱き締めるようにして眠っていた


本当、寝顔がそっくりな2人だな


樹里も奈那も寝顔が幼い気がする


そこも可愛いとこだけどな。


樹里は寝たまま涙を流していた


その涙を拭い2人を起こさないように行動を始める


今日も暑くなりそうだなと思いながら素早く玄関の掃除をした


「大翔くん、おはよう」


奈那が起きたみたいだ


「はよ。ぐっすり寝れたか?」


「うん。普段慣れないとこに来るとなかなか寝付けないんだけど此処では寝付けた」


そう言う奈那の表情がすっきりしたように見える。
「奈那が居たいだけ此処に居て良いから」


樹里との時間を埋めるのも大事。


「ありがとう。もう少し居させてもらうね」


奈那はニコッと微笑んだ


「あっ、大翔くんに言い忘れたことがあるの。」


……言い忘れたこと?


「樹里がね昔、“夏休みが誕生日だから誰にも祝ってもらえない”って言ったことがあったんだ」


夏休みって長期だからな。


「今回はちゃんと祝ってあげるつもりだよ。樹里の大好きな人達とね」


その中には奈那の存在も必要なんだ


「ちゃんと樹里のこと考えてくれてるんだね」


「もちろん。大切にしたい彼女ですから。」


「あたしも彼氏居るけどなんか妬けちゃうなぁ…」


“貴方に想われてる樹里が羨ましい”と奈那は呟いた
「本気で恋したの、樹里が初めてなんだ。だから、どう接して良いか分からない時もある」


俺だって不安になるんだ


「樹里は大翔と一緒に居るだけで良いんじゃないかな?」


そうだと良いけどな


話していると樹里が起きてきた


「樹里、おはよう」


奈那が言うと小さくお辞儀をした


「おいで」


手を広げたまま呼ぶと喜んで俺に飛びついてくる


こんな樹里も可愛くて仕方ない


「こんなに甘えてる樹里を見たのは久しぶりかもしれないな」


奈那は微笑ましく樹里を見ていた


今まで甘えられなかったんだよな


こうやって甘えてくれること、樹里に必要とされてるみたいで嬉しくなる


大好きな人には必要とされたい
まだ、眠いのか樹里は抱きついたまま動く気配がない


「眠いか?」


俺の問い掛けに樹里は小さく頷く


「樹里はずっと誰かに甘えたかったんだよね?だけど、心配掛けたくなくて強がってた」


うんうんと相づちを打つ樹里


奈那は樹里のこと分かってるな


「今日は奈那と遊ぶんだろ?ゆっくり準備始めような」


俺が言うと樹里は離れて椅子に座った


簡単な朝食を作り3人で食べて準備を始めた


女子は準備に時間が掛かるだろうから気長に待とう


樹里達が準備をしている間、片付けをする


「大翔くん、準備出来たよ」


樹里と奈那が仲良く出てきた


樹里はワンピース、奈那はブラウスにショーパンというスタイル


真逆な系統なのに何処か似ている2人。