【更新中】キミの声、聞かせて

~♪~♪~♪~


樹里と2人でゆっくりしていると突如、携帯がなった


小牧からだ


何かあった時のことを考えて番号を教えてもらった


「もしもし」


「大翔、今ヒマ?」


「樹里と一緒に居ます」


小牧は俺らが付き合ってることを知ってるから言って良いよな


「樹里も一緒か。今から学校に来て。」


「今から??」


何をしようか考えてる途中だったけど。


「ちょっと手伝って欲しいんだ。」


雑用に使われるんだな。


「樹里、行動移すまでに時間掛かるよ?」


「それでも良い。急がないから」


それだけ告げると電話を切った


拒否権はなしってわけか。


樹里を見ると首を傾げていた


まぁ、気になるよな。
「樹里、今から学校に来いってさ。」


樹里は驚いた顔をした


……当たり前だよな。


「手伝って欲しいんだってさ。急がないらしいからゆっくり来いって」


それを聞いて安心した笑みを見せた


「着替えるから待ってろ。」


頷いた樹里を見てから脱衣所で制服に着替える


夏休みなのに学校なんて面倒くさいな。


リビングに戻ると樹里はソファーに座ってボーッとしていた


「樹里、どうした?」


《聞いて欲しいことがあるの》


と書いたボードを見せた


小牧は急がないって言ってたし聞いてあげよう


「ゆっくりで良いから書いて。」


樹里はペンを走らせていた


《旅行の時にね、奏哉さんから担任から預かったものがあってその中に手紙が入ってたんだ》


……手紙?
《前の学校に、冬華と同じくらい信頼出来る子がいたの》


「樹里のこと、理解してくれてたのか?」


俺の問い掛けに頷いた


《声が出ないこと、分かって接してくれた優しい人なの。でもね、何も言わずに転校して来ちゃった》


「どうして…?」


普通なら言うはずなのに…


《あたしのこと忘れて普通の生活して欲しかった。だから、アドレス変えて連絡を取れないようにしたの》


「だけど、奏哉さんも知ってる樹里の担任を通してその子から手紙が来たんだな」


《そういうこと。会いたいけど、会うのが怖い》


樹里って一歩踏み出すのに時間が掛かるもんな


じゃあ、俺に出来ることは…?


「樹里、俺には何が出来る?」


《大翔が傍に居てくれるだけで安心する》


樹里を観察しながら考えよう
君を訪ねて来た人は

とても優しい人

そして、何よりも

君のことを支えたいと

強い意志を

持った人でした


***************


樹里の話を聞き終えて抱きしめた


樹里はというと話してスッキリしたらしい


「行こうか。怒られることではないし大丈夫」


《制服に着替えなきゃだね》


樹里の家に行かなきゃいけない


一旦、樹里の家に行く


「お姉ちゃーん!!お兄ちゃーん!!」


俺らの存在に気付いた樹音が手を振って出迎えてくれた


「樹里、着替えて来い」


俺が言うと樹里は着替えに行っていた


「お兄ちゃん、どこかに行くの?」


樹音を抱き上げていると不思議そうに聞く


「学校に行くんだよ」


「お休みなのに?」


樹音はやっぱり不思議そうだ
「先生の手伝いに行くんだ。」


「そっか。頑張ってね」


すると、制服に着替えた樹里がやってきた


樹里の制服姿、久しぶりだな。


やっぱり可愛い


「じゃあ、行こうか。」


「いってらっしゃーい」


樹音に見送られ学校へ向かう


樹里は樹音の姿が見えなくなると俺の手を握ってきた


……可愛いヤツ


手を繋いだまま学校へ行く


「おっ、来た来た。悪いな」


玄関先で小牧は待っていた


「どうせ雑用に使うんだろ?」


小牧のことだから。


「さすが、大翔だな。1人じゃ大変でな」


だから、俺らを呼んだのか。


「ちゃんとご褒美やるから手伝え。」


「分かりました」


頷いてから樹里と一緒に教室に向かう
「あっ、作業場所、会議室だから」


“先に行ってろ”という小牧の言葉を聞いて会議室へいく


長机に並んだ書類の数


これをやるってか。


樹里を見ると困惑した表情を見せている


「待たせたな。この書類を纏めて欲しいんだ」


束にするんだな。



「これ、俺らに配るプリントじゃないな」


「あっ、バレた?」


“あっ、バレた?”じゃねーよ


「だって、1人じゃ終わらないからさ」


「じゃあ、さっさと終わらせよう」


俺らは作業に取りかかる


俺と小牧で書類をひとまとめにし樹里がホッチキスで止める


その作業を繰り返す


「はぁ…」


思わずため息が漏れる


これ、いつになったら終わるんだ?


昼までに終わればいい方か。
「手伝わせてすまんな。」


「絶対、申し訳ないって思ってないだろ。」


顔に書いてある


“手伝わせるつもりだった”って。


「お前にしか頼めないんだよ。許せ」


《2人とも手、止まってる》


樹里はスッとボードを俺達のところに置いた


「樹里、すまん」


樹里のヤツ多少、怒ってる


「樹里、休憩するか」


俺が聞くと素直に頷いた


樹里は疲れてる


まだまだ終わりそうにないし休憩しよう


「俺、昼飯買ってくるよ」


小牧は昼飯を買いに行ってしまった


「飲み物買ってくるけど、樹里はなに飲む?」



《オレンジジュース。あたし、此処に居るね》


「分かった。ゆっくり休んでろ」


俺は財布を持って自販機に向かった
生徒玄関前の自販機に着くとオレンジジュースとコーヒーを買う


にしても、夏だな。暑すぎる


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携帯が鳴った


相手は奏哉さんだ


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頼まれたもの出来たぞ。
喜んで貰えると良いな
会えるの楽しみにしてる
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頼んでたもの出来たのか。


間に合った、良かった


軽くメールを返信し携帯をポケットに突っ込んだ


「あっ、あの…」


後ろから声がして振り返る


そこには白いワンピースを着た女の子が立っていた


栗色の長い髪が風でなびく


顔立ちがはっきりしていて目は大きく背が高い


人形みたいだ


樹里を可愛い系と例えるなら目の前にいるこの子は綺麗系
「どうかしました?」


つい敬語になってしまう


同い年かもしくは先輩くらいだろう


「あたし、人を探してるんです」


「人?」


俺が聞き返すとその子は頷いた


「この学校の2年生に寺田樹里って子、居るらしいんですけど…。知りません…よね?」


……樹里を探してるのか?


「あっ、居なかったら良いんです。夏休みだから学校には居ないか。」


“会いたいな。どうしよう。住んでる家までは分からないしなぁ”と呟く女の子


もしかして、樹里が言ってた子ってこの子なのか?


……まさかな。


こんなこと、あるわけがない


でも、聞いてあげるのも大事だよな


樹里には“ちょっと遅れる”とメールをした


そうしないと不安になるから。