「暴力を受けた母親が近くに居ると分かってたらのびのびと生活出来ないからな」


「だから、引っ越して来たんですね。」


直樹さんは頷いていた


「俺の仕事の異動の話も出てたし樹音は1年生だからタイミング的にも良かった。それに…」


一旦、言葉に詰まったが再び話し始めた


「樹里にはガヤガヤした所よりのんびりした所の方が良いかと思って。学校以外にも外に出てくれたら良いけど…」


「どういう意味ですか?」


気になったので聞いてみた


「不登校の時期があってな。学校を見ると吐き気を起こして動けなくなってたんだよ。食事もしなければ外にも出なかった」


「樹里にもそんな時期が…」


俺は眠っている樹里を見た


気持ちよさそうに寝息を立てて眠っていた