【更新中】キミの声、聞かせて

「樹里、楽しかった?」


《うん!!楽しかった!!》


……良かった


「大翔、デートの邪魔してごめんな」


「良いんです。大勢の方が楽しいし、何より樹里が楽しそうにしててたくさん写真が撮れましたから」


「今度はゆっくり会おうな。」


「もちろんです。」


また、会ってくれるなんて嬉しい


「あっ、奏哉。樹里ちゃん、笠原高校からの転校生なんだって。」


「おっ、そうなの?じゃあ、佐々木のこと知ってる?」


奏哉さんの問い掛けに笑顔で頷いた


「佐々木は良く家に遊びに来るから今度、会いに来ると良い。佐々木にも言っておくよ」



《宜しく伝えておいて下さい》


また、連絡する約束をして奏哉さん達と別れた
「大翔、いつの間にか知らない人と仲良くなってんじゃん」


「花菜が奏哉さん達とはぐれてたのを助けたのがきっかけで仲良くなったんだ」


あんなに打ち解けるなんて思ってなかったけど…


それからは水族館を出て遅めの食事を取り4人でショッピングを楽しんだ


樹里も琴音も良い気分転換になったみたい


「樹里、楽しかったね。アルバム出来たらまた連絡するよ。」


「大翔、今度は途中で居なくならずに俺の相手もしてよな」


他愛のない話をして亮介達とも別れた


「樹里、疲れただろ?」


《うん。疲れたけど楽しかった》


奏哉さんが言ってくれた通り俺に出来ることをしよう


樹里の前だとありのままの自分で居られる


奏哉さんに出会って改めて感じたことだった
君のことを

もっと知りたい

だからもっと

一緒に居たい

離れたくないんだ


***************


樹里の気分転換を兼ねたデートをし、奏哉さん達に出会ってから月日が経った


あれから会うことはないが連絡は取り合っている


樹里も花歩さんとメールをしたりしているようだ


夏休みも近くなり奏哉さんの家へ遊びに行く計画を立てている


周りも夏休みの話題で持ちきりだ


「樹里、夏休み遊ぼーね」


冬華の問い掛けに笑顔で頷いた


「大翔、お前充実してんじゃん。樹里ちゃんが彼女になってから俺の相手してくれてねーよな」


勝真とも遊ばなきゃな


《大翔、あたしのことは良いから勝真くんとも遊んであげて》


樹里は優しいんだよな


自分のことより相手を優先する
《あたしは七瀬さんと遊ぶ約束してるから》


「また、姉貴かよ」


最近、良く姉貴に樹里を取られるんだよな


《七瀬さんと一緒にお買い物なの》


樹里のこと、気に入ってるからな


「樹里、俺の相手もしろ」


「うわっ、俺様。樹里のおかげで大翔の一面見ること出来て楽しい」


冬華に言われたけど気にしない


「大翔、俺の相手もしろ」


《勝真くん、大翔のこと連れて行って良いからね》


樹里はニコッと微笑む


「樹里ちゃんが良いって言ったから遊ぼう」


結局、勝真と遊ぶことになった


樹里は立ち上がり俺を呼ぶ


空き教室に行き樹里はペンを走らせた



《あたし、本当は大翔と離れたくないよ。だけど、男同士の時間も必要でしょ?》


樹里なりに考えてるんだ
《お父さんに許可もらったから夜は大翔のお家に行くね》


話によると直樹さんは出張、祖父母は旅行、樹音は月に1度の学童保育のお泊まりらしい


だから、樹里は1人なんだな


《夜、たくさん構って。大翔が良いって言うならたくさん甘えるからね》


それだけ書いた樹里は微笑みボードを机の上に置いた


俺は樹里を抱きしめる


「本当はこのまま連れて帰りたい。離れたくない。だけど、姉貴に怒られるから。いっぱい甘やかしてやる」


樹里が俺を必要としてくれてるように、俺も樹里が必要だ


こんなに1人の女にハマったのは初めてで…


離れたくないし離したくない


《大翔、行っておいで》


「じゃあ、後でな」


樹里に見送られ勝真と遊びに出掛けた
「大翔、遅い」


学校近くの公園のベンチで“待ちくたびれた”と足をパタパタさせる勝真


コイツ、妙に子供っぽいとこがある


「樹里ちゃんに癒されて来た?」


「あぁ。んで、何処行くんだ?」


「ベルトが壊れた。だから、買い物行こう」


買い物か…


たまにはコイツと一緒も良い


いつも、亮介とばかりだったから


「にしてもさ、樹里ちゃん最近可愛くなったよな」


「お前には渡さねーよ」


樹里は俺のだ


「分かってるって。樹里ちゃん、大翔のこと信頼してるみたいだしな」


樹里のこと、支えたいんだ


「だけど、気をつけろよ。最近、樹里ちゃん人気だからな」


そう、最近樹里の人気が半端じゃない


冬華も人気者だけど、樹里も人気が出て来た
そこら辺の男共が樹里のこと“可愛い”って連呼してるのを耳にする


確かに樹里は可愛くなった


冬華と居ることによって良く笑うようになった


誰にも見せたくないくらいに…


「“話せないけど、笑顔が可愛い”とか“守ってあげたい”って思ってるらしいよ」


樹里が甘えてくれるのは俺だけで良い


「まっ、頑張れ。てことで行こう」


勝真はスタスタと歩きだす


俺も必死に着いていった


「そんなに怖い顔しなくても樹里ちゃんは居なくならないって。樹里ちゃんが心許してるのは大翔だけだろ?」


確かにそうだけど…


「せっかくだから今は楽しもうよ。俺、お前と遊ぶの久しぶりだし」


勝真が楽しそうならそれで良い


俺達は久しぶりの2人の時間を思い切り楽しんだ
買い物を終え公園に戻る


「大翔、時間ある?」


「あぁ、樹里は姉貴が取っちゃってまだ帰って来ないだろうしな」


あの姉貴には勝てる気しないし


「樹里ちゃんとキスしたの?」


コイツは何を言い出すかと思えば。


「いや、付き合い出してからはそういうことはない」


「はっ?大翔のことだから遊んでるかと思った」


コイツは驚きを隠せないようだ


「遊んでるって…。樹里は大切だから怖がるようなことはしたくない」


樹里が怖がるようなことをしたら冬華や琴音に怒られる


「只でさえ声が出ない樹里なんだ。話せないから言いたいことが言えないだろ?樹里が良いって言うまで待ってる」


それが俺が樹里に出来ることの1つだから。
「よっぽど樹里ちゃんのこと好きなんだな。じゃなきゃ待てねーよ」


……確かにそうだな


「樹里を不安にさせるくらいなら好きなことして喜んでもらいたい」


「大翔なら出来るさ」


「お前は?好きな女居ねーの?」


「俺は良い。興味はあるけど、今は親友である大翔が幸せになってくれればそれで良い。」


最後にかっこいいこと言ったな


「だから、樹里ちゃんと仲良くしなよ。大切にしないと取られるからな」


「あぁ。分かってる。ありがとう」


コイツは良いヤツだ


「大翔、性格が柔らかくなったな。これも樹里ちゃんのおかげだね」


「樹里に出会ってなければここまで変わってないな」


それは事実だから素直に認める


他愛のない話をして勝真と別れた