【更新中】キミの声、聞かせて

頼れる人が出来た

君と過ごす日々は

あたしに光を

与えてくれた

君は温かくて優しい人

そんな君にあたしは

甘えてしまうんだ


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大翔と正式に付き合うことになってから数日


あたしは無事に退院出来た


お父さんや樹音と一緒に大翔も迎えに来てくれた。


あたし達が付き合いだしたこと、お父さんは知っていた


大翔が報告したみたい


退院したといっても捻挫は完治していない


車椅子が必要なほどでもないし歩くのが辛かったりするけど、歩かなきゃいけないから杖を使った生活だ


その都度、大翔や冬華がサポートしてくれている


学校では2人のサポートのおかげでかなり助かってるんだ


1番は大翔の支えが大きい。
大翔と付き合いだしたことを冬華に報告したら喜んでくれた


“やっと、信頼出来る人が出来たね”って…


冬華はあたしが人間不信なのも知ってる


だから、言ってくれるんだ


大翔も琴音達に報告したみたい


だから、今度会うことになった


めんどくさがりながら七瀬さんにも報告していた


“姉貴には報告したくないけど、言わなかったら後が怖い”とのこと


七瀬さん、優しいのにな。


「樹里、授業終わったけど?」


あっ、今は学校だった


考え事してて忘れてた


「また、意識飛ばしてたな。」


大翔にはバレてる…


「樹里の体調が良ければシュークリーム買って帰るか?」


付き合いだしてから大翔が更に優しくなった気がする
「大翔くんと寺田さん、付き合いだしたって。」


「大翔くんにはもっと似合う人、居るよねー。」


「なんで寺田さん何だろ?あの子話せないのに」


周りの女子達は言いたい放題


あたしが大翔と釣り合わないことくらい自分が1番わかってる


だけど、大翔は話せないあたしを理解してくれた人だもん


「ねぇ、お前らいつまで言ってんの?」


大翔が女子達を止めてくれた


「大翔くん、なんで寺田さんなの?可愛くないじゃん。寺田さん」


“可愛くない”なんて直接言われたら傷つく…


「樹里は可愛い。文句を言うお前らなんて可愛いなんて思わない」


大翔はあたしを抱きしめてくれた


その瞬間、奇声が上がる


この、場所に居たくない


「樹里、行こ」


大翔はあたしの手を引きこの場所から逃げ出してくれた
大翔が連れてきてくれたのは誰も居ない生徒玄関の隅っこ


此処は死角になっていて生徒達には見えない


荷物を置くと大翔は抱きしめて頭を撫でてくれた


「樹里、ごめんな?」


どうして大翔が謝るの?


女子達にあんな風に言ってくれて嬉しかったんだよ?


話せないからお礼も言えない


「俺には樹里だけだから」



大翔はあたしのおでこにキスを落とした


そういえば……


《ボードのペンのインクが無くなりそうなの》


書いたボードを見せた


「樹里の体調は大丈夫か?」


あたしは小さく頷いた


「じゃあ、買いに行こう。ついでにシュークリームもな」


大翔が居るなら大丈夫


あたし達はショッピングモールに向かった
ショッピングモールに着くと学生でごった返していた


学校帰りの溜まり場みたいだし仕方ないよね


「樹里、俺の手を離すなよ?」


あたしは小さく頷いた


「ペンを買いに行くついでに何個かボードを買っておこうな」


どうして?という意味を込めて首を傾けた


「家用、学校用、俺んち用。出掛ける時は小さなノートとペンがあれば良いしな」


大翔なりに考えてくれてるんだ


「持ち歩くのは良いけど場所取るだろ?」


……確かに。


「直樹さんには話してあるし明日も出掛けるだろ?だから必要なもの揃えよう」


そう、明日は平日だけど学校が休み


研修で休みなんだって。


周りの人は課題が出てるみたいだけど冬華のお父さんに許可を貰ってあたし達は出掛けられることになった
“気分転換をして良い”とのこと


「樹里は心の傷を癒やすのが先だからな。親父も言ってたし。校長も親父と話し合って出した答えだから。」


相馬先生と忠彦さんに感謝しなきゃ


《インクと台紙とSDカードを買わないと…》


プリンターのインク切れてたし。


「じゃあ、先にペンとボードを買ってから写真の印刷に使うものを買いに行こう」


大翔はあたしに笑顔を向けてくれた


この笑顔を見ると落ち着く


「行くか。」


大翔はあたしの手を握り歩き出した


人込みに入るのは怖いけど、大翔と一緒なら怖くない


「ボードは小さいヤツで良いよな」


大きいと場所取るからあんまり好きじゃない


学校用と大翔の家に置いて置くボードとペンを買って支払いをした
「後は写真を撮るのに必要なものを買うだけだな。アルバム買いに行くか?」


《良いの?》


「もちろん。たくさん写真撮るだろうし。俺の撮った写真も一緒にアルバム作ろう」


大翔との思い出、嬉しいな


じゃあ、多めにアルバム買っておかないと。


場所は取るけど大きなアルバムを買うことにした


どれだけの枚数を撮るか分かんないしね。


後はインクと台紙とSDカード


色画用紙とペンも数種類買った


「出掛けたら度々アルバム作っていこうか?」


大翔からの提案に驚くあたし


《大翔はあたしなんかとアルバム作って良いの?》


「樹里とだから作りたい。思い出に残しておきたいんだ」


そう言って貰えて嬉しいな。


すかさず笑顔になるあたし。
「写真撮ったらアルバム作る。樹里はイヤか?」


《イヤじゃない。嬉しい》


「せっかく同じ趣味を持ってんだ。楽しまないと始まらないよな」


……そうだよね


あたしと大翔には同じ“写真を撮る”という趣味がある


写真を撮るんだったらアルバムは作りたい


「アルバム一緒に作ろうな」


《大翔が“アルバム作ろう”って言ってくれるとは思ってなかった》


アルバム作るとは考えてたけど、男の子って興味なさそうだから。


「せっかく写真を撮るなら残しておきたいって思っただけ。レイアウトは樹里に任せる。」


お出かけをきっかけに大翔との距離が近くなると良いな。


初めて本気で好きになった人。


大翔のこと、もっと知りたい
「買う物は買えたな。他に寄るとこは?」


《食料品買って良い?》


「良いよ。寄るか。その後、シュークリームな」


シュークリームのこと覚えてくれてたんだ


あたし達は食料品売り場に向かった


明日、天気も良いみたいだし、お弁当でも作ろうかな?


当日まで大翔には内緒。


どうせならびっくりさせたいし。


必要な物を揃えて支払いを済ませた


大翔も買い物をしてたみたい


「冷蔵庫の中、空っぽで調味料もなくなってたんだ」


だから、たくさん買ったんだね


「樹里の荷物持つよ。貸しな」


あたしは首を横に振った


自分の分くらい自分で持たないと。


只でさえ周りに迷惑掛けてるのにこれ以上、迷惑掛けられない