「それなら良いんだけど…。樹里、楽しんでおいでよ?」
《うん。ありがとう》
「今度はあたしの相手もしてよね?」
《もちろん。冬華とも遊びたい》
「樹里、行くか」
樹里が冬華に手を振ってから教室を出た
そして、一旦帰宅する
「荷物、軽くしろよ」
樹里はバックに財布とタオルと携帯を詰めていた
《一応、薬と水も持っておくね》
何かあってからでは遅いからな
「亮介達と合流しよう」
制服のまま軽くした荷物を持ち亮介達のところへ行く
「大翔ー!!樹里ー!!こっちだよ」
俺達に気付いた琴音が呼んでくれた
「樹里の制服姿、可愛い~!!似合ってる」
琴音に言われ照れる樹里
樹里は自分の可愛さに気付いてないんだ
「樹里、琴音と一緒に買い物するか?」
俺が言うと樹里は不安そうな顔をした
「大丈夫。何かあったらメールすれば良い。耐えられなくなったら琴音を頼れ」
「そうだよ。樹里は1人じゃないからね。あたし、もっと樹里のこと知りたいし」
再び合流するということで二手に分かれた
「大翔。お前なにがしたいの?」
「ちょっと買い物」
「買い物って樹里ちゃんに?」
「そうだけと…?」
「ホントお前、変わったな」
……そうか?
自分では分かんねーや。
とりあえず、雑貨屋に入る
放課後となると学生が多いな
「何買うのさ?」
亮介の言葉を無視して俺は探し物をする
「あっ、あった。」
これが欲しかったんだ
「鈴とオカリナ…?」
亮介は不思議そうな顔をした
「話せない樹里にはこれが必要だ」
鈴は俺に自分が来たことを知らせるため
オカリナは緊急事態のSOSのため
「話せなかったら大変だしな」
俺は支払いをしラッピングをしてもらう
「なんでラッピング?」
「樹里を驚かせたいからに決まってるだろ?」
樹里には喜んで欲しいから。
「亮介は?琴音になにも買わないわけ?」
「なにが良いか分かんねーんだよ」
こういうことには疎いんだよな。コイツ
「ネックレスでも良いじゃんか。」
「そうか。その手があるか」
亮介は納得したようだった
「樹里ちゃんとお揃いにするか。」
亮介は楽しそうに選んでいた
結局、亮介が選んだのは星形のネックレス
「2人とも喜んでくれると良いなぁ」
“そだな”と俺も返す
「にしても、大翔が変わるなんてな。未だに信じらんねー。」
「俺は樹里の支えになりたい。こんな気持ちは樹里が初めて」
「告白すれば良いのに。」
亮介はボソッと呟く
「告白ならした。だけど、返事はもらってない。いつでも良い」
樹里が俺に向いてくれるまで待ってる
「良い報告待ってるからな」
「おう」
「でさ、琴音と話してたんだけど、樹音ちゃんに何かプレゼントしようってなったんだ。何が良いかな?」
樹音の好きな物か…
樹里に聞いた方が早いな
「とりあえず、2人を探そう」
俺達は樹里達を探すことにした
「あっ、樹里」
2人は楽しそうに洋服を見ていた
俺の声を聞いて微笑んでくれた樹里
「樹里、樹音の好きなものってなんだ?」
《絵本を読むの好きだよ》
……本か。
「じゃあ、本屋行こう」
樹里の書いたのを見て亮介が呟き琴音と樹里の支払いが済むとみんなで本屋に向かった
「亮介、2人で見てこい」
2人からのプレゼントなんだ
2人で選んだ方が良いだろう
「樹里、行くか」
俺は樹里の手を引き2人から離れた
すると何だか引っ張られた気がした
「樹里、どうした?」
俺が聞くと樹里は自分から抱きついて来た
……可愛いな。
「樹里、俺…期待していいの?」
こんな可愛い行動されると期待するぞ?
俺の言葉に樹里は何も言わす抱きついたままだった
まぁ、此処は周りから死角になってる場所だ
「樹里、顔上げて」
耐えられなくて俺は樹里にキスをした
顔、真っ赤にして可愛い
《大翔、急になにするの?》
「樹里が可愛かったからキスしただけ」
《恥ずかしいもん》
「俺だって本気になったのは初めてだから恥ずかしい。」
恥ずかしいのは樹里だけじゃない。
初めてだからどうして良いか分からない
樹里と居ると身体が咄嗟に動くんだ
赤い顔を隠すように樹里は抱きつく
そんな樹里を強く強く抱きしめた
「俺は樹里の傍に居る。小さなことでも支えになる」
そう呟き俺の気持ちが伝わるように、俺の傍から離れないように樹里を抱きしめ続けた
周りが何と言おうと
君の傍に居たい
君と居る時間が
とても安心出来るんだ
***************
しばらく樹里を抱きしめていた
樹里は小さくて壊れそうだ
樹里は嫌がることなく抱きついたままで。
何処か寂しそう
「樹里、落ち着いたか?」
俺が聞くと笑顔で頷いてくれた
「亮介達はそのままにしてちょっと店にでも入るか」
俺は樹里を連れとある店に入った
「樹里、好きなの選びな」
“…えっ?”と驚いた顔をした樹里
「良いから選んで」
俺の言葉に渋々選んでいた
「選んどいて。ちょっと俺、手洗いに行くから」
手洗いたくなってお手洗いに行く
「あっ、大翔だ」
名前を呼ばれて振り返るが…
……誰だっけ、コイツ
「ねぇ、ヒマなら遊ぼ?」
「俺、人待たせてんの。名前も知らないお前の相手なんてしてられるか」
握られてる手を引き離すがコイツも負けじと握り返す
香水臭いから離れたい
「寧々、知ってるんだからね」
コイツの名前、思い出した
……城本寧々(シロモトネネ)
俺らと同じ学年の女
俺、コイツに付きまとわれてるんだった
「大翔が待たせてるのって寺田さん?」
「そうだけと、何?」
俺は素っ気なく返す
「あの子、話せないんだよね?なのに、そんな子の相手をするの?」
城本の話を聞かずに足を進める
「ねぇ、寺田さんなんて放っといて寧々と遊ぼ」
----イラッ
「樹里のこと何も知らないのに悪く言うんじゃねーよ」
そう言葉を発し樹里の元に向かった
「樹里、決まったか?」
《お帰り。大翔から違う香水の香りがする。誰かと一緒だった?》
城本の香水の匂いが残ってたんだな
「ちょっと関わりたくないヤツに捕まってた」
樹里には嘘をつきたくなかったから
だけど、樹里はどこか寂しそうな顔をした
「で、気に入ったのあったか?」
《んー。たくさんあって自分じゃ選べないから大翔が選んで?》
「俺が選んで良いの?」
樹里は笑顔で頷いてくれた
俺は樹里の手を引き店内を回る
樹里に似合いそうなものを見つける
「樹里はブレスレットとネックレスどっちが良い?」
樹里は迷わずブレスレットを指差した
ブレスレットを中心に選んでいこう
「樹里にはこれだな」
俺は迷わず選ぶと支払いに向かった