俺は頬を緩ませながら、なっつという猫の頭を撫でてみた。

「…でもクリーニング代出したいから、連絡先…」

彼女はハッとして俺の顔を見て頬を赤らめた。
うわ、その顔やばい…。

「ご、ごめんなさい、初対面の人に…」

「…ペン持ってる?」

えっ。と声をあげつつ、バックを漁り、俺に油性ペンを渡してくれた。
俺は彼女の右腕をとり、

‘080-xxx-xxx 並木輝’

と、堂々と記入してやった。

「アドレスじゃなくて電話番号な。あんたから電話してこいよ!」

「ッ~…」

「意地悪」とでも言いたげな顔で俺の顔を見詰める。

あー、やられた。
俺、どうやらこの子に一目ぼれしちまったらしい。

あか姉と同じくらい可愛いと思った女の子は初めてだった。