「ごめんごめん、話込んでてさ!」

左手を腰に当てて俺の近くまで寄ってくるあか姉。
ぐんっと俺を見上げては眉を下げる仕草を見せる。

「髪の毛ちゃんと染まってんじゃん!よし。」

あぁ…俺の髪見てたのか。

「ん?…っ!?」

あか姉の目が大きく開かれた。
俺の隣にいる彩の存在に気付いたようだ。

「うああああ!?すんっごい可愛い!やああああ!」

頬を赤くして彩に抱き付くあか姉に対し、俺を含め彩は苦笑い。
俺はすかさずあか姉の腕をつかみ引き離した。

彩の額にも、あか姉の額にも汗がじんわり。

「話は飯食べてる時!入れよ彩。」

「お、お邪魔します…。」

可愛いハスキーな声を萎ませて、そっと玄関に入る彩。

「あら!お帰りなさい!」

エプロン姿の母さんが手を合わせながら駆け寄ってくる。