「っ…。」

手をぎゅうと握り返してきた彩の手は、汗で湿っている。

俺の顔は多分真っ赤だ。

手をつなぐとか、抱き締めるとか、慣れてるはずなのに、
彩相手だと俺の体が、こう、なんていうか、硬直する。

彼女なんか今迄結構デキてたし、女の扱い慣れてると思った。

最初は一目惚れだったけど、今はもう、彩自身の事…。

そんな事を考えながら歩いてたら、もう俺んちの近く。

「ほらあの青い屋根あるだろ?あれうちな!」

暗闇の中で光る電柱を頼りに指を指し、彩に教える。

「あ、ええ大きい!」

俺んちは他の家より少しでかい。
青い屋根の洋風の家、庭も少しばかり広くて、目立つ。

親父の稼ぎがいいからだよ、と胸を張って言ってみる。