「話してくれて、ありがとう。よく、頑張ったな…。」

泣かないでと、彩が俺の頬に伝う涙を拭ってくれた。
だから、蒸し暑いから汗掻いたんだよ、と誤魔化した。

「輝、ありがとう、初めてだよこんな事自分から話したの。」

ふふ、と笑い、顔を俯く彩。

「話してる時は辛いけど、誰かにそういうの聞いてもらったら楽になる気しねえ?」

「…ほんとそうだね。」

彩の肩を抱き寄せ、背中を優しく撫でてやる。
更に泣かせてしまったけど。
でも、今はたくさん泣かせてやりたい。

「今までよく我慢したな。俺、無力だし、役にもたたねえけど…、」

正直、本当に何て言葉を送ればいいかわからない。
こういう時、かっこいい奴なら沢山アドバイスっつうか、そういうのしてんだろうな…。

でも、

「俺、彩を幸せにしたい。」

これだけは、心から思う。

「俺と、もう一度スタート地点から一緒に頑張ってみねえ?」

彩の目をじっと見詰める。自分の顔が赤くなるのを感じた。

「好きだ。」

彩の目から大粒の涙がぼろぼろと零れ落ちる。