「彩、お母さんと新しい生活しよっか。」
にっこり微笑みながら彩の頬を撫でるお母さんを見上げる。
「え…?」
ぎゅうと抱き締めてた腕がだらしなく垂れ下がる。
その言葉がどんな意味を指してるのか。
一瞬目の前が真っ暗になった。
「此処はもう…。お父さんとお母さんも上手にいってないのよね。」
「おかあさ、ん?……浮気、してないよ、ね?」
心臓が飛び出そうなくらいドクドクいっている。
ギィギィ、と、ベットが軋む。
「好きな人、できたんだ。同じ仕事場で。」
不気味に口角が上がるお母さんを見て、手足が震えた。
お父さんは…?お父さんの事は好きじゃないの…?
「彩が卒業した後にでも、引っ越そう?」
髪をすくいあげ、彩を抱き寄せるお母さん。