「ッ……。」

ポタポタと情けなく頬に伝う涙。
駄目だ、泣いちゃ、駄目なのに……。

「ちょ、輝!?どうし…」

「信じ、らんねえんだ…。」

今此処で言うべき事じゃない。けど、真実が知りたい。
どうしても、その気持ちが勝ってしまう。

「折原と、俺、放課後係で居残りしてたんだ。」

折原という言葉を聞いて彩の俺へと伸びる腕が止まった。
制服の裾で、ゴシゴシと涙を拭い、顔を伏せる。

「全部、全部聞いた。折原の事、お前、の事も。」

今、彩がどんな表情をしているのかわからねえ。
俺は話を続ける。

「本当か、信じらんなくて、わかんねえけど、俺…。」

その時、彩がポンッと俺の背中を叩いた。

「何て言えば、いいのかなあ。」

思ったより優しいトーンで俺に語りかける。
俺はゆっくりと顔を上げた。

夕日に照らされた彩の表情。
…右目から零れる涙を、ゆっくり指で拭う。