ちょっと坂気味の芝生の上に腰を下ろすと、彩も俺の隣にちょこんと座った。
制服の袖を捲る仕草が可愛らしい。

「一回家には帰ったの?」

「いや、学校から来た。」

戸惑う癖がどうしても出てしまいそうで、口数が少なくなる。
そっか、と小さな声で呟く彩。

目の前には小河。水がさらさらと流れている。

流石田舎であり、小河の向こうは森林だ。
後ろを振り返れば、デパートがちょこんと顔を出してる。
都会からみたら、このデパートもスーパー並みなんだろうな。

俺の目には、今綺麗な夕焼けが見えている。
だけど、君の目には、何が映っているのだろう。


「私、此処好きだなあ。」

俺の方を見てにっこり笑う彼女。

「夕焼け、大好きなんだよね。」

目を細め、えくぼを見せて真っ直ぐ夕焼けを見詰める彩。

その瞬間、折原が言っていた言葉が一気にフラッシュバックした。

ポタッ。

「え…?」