ゆっくりゆっくり、俺は走りながら頭で整理をしていた。


暫くして、デパートの前までくると、人影が見えた。
団子結びをして携帯を見詰める女の子。

「彩!!!」

会いたかった人の元へ駆け寄る。

「輝、汗かいて…大丈夫?」

「ああ、大丈夫。ちょっと出ようぜ!」

俺は彩の顔を見ず、腕を引っ張ってデパートの近くの小河の方へ歩いて行った。
6時ちょっとすぎ。
夕日が良い感じに沈み始める。

「どこいくの?」

「小河。暑いから水の近く行きてえと思ってな。」

デパートの中でもよかったんじゃないの?と小さな声で呟きクスッと笑う彩。

「俺が餓鬼んころ姉貴とよく行った場所でさ。」

俺の心の中の何かが、折原が言っていた事を否定する。

スゥッと草の間を通り抜ける夏のあつっこい風が、
俺の額の汗を冷ましてくれた。