ピッと電話を切ると、俺は折原の肩を掴みダンッと壁に追いやった。

「いったぁ…!何すんのよこのッ…」

「彩に手ェ出してみろ。ただじゃおかねえからな。」

思い切り眉間に皺を寄せ、顔を近寄せると、折原はビクッと肩を震わせた。

「あんたより私の方が彩に近い位置にいるのよ?何ができるの?」

「養護施設なら俺が彩を引き取る。」

大きく開く彼女の瞳をジッと見て、俺は手を離し、バックを手に取った。

「…許さない、みんな、みんな彩の味方…。」

「え?」

折原の右手には、しおり作成の時に使っていた青いはさみ。

「私の家庭を壊したのは、全部成瀬家なのに、成瀬家には彩しか残されてないの。だから、だから……!!」

「ちょ、ッ!まて、!」

ハサミを持って走ってくる折原を避けて、俺は教室から飛び出した。

イカれてるレベルじゃねえ。
正直まだ信じ込めてない俺には、そこまでショックというか、そういう感情は出てこなかった。

何かの、ドッキリだろう。そう思ってた。