だって………。
「私の親、彩の母親の事殺しちゃったのよねー。」
何言われるか、予想つかねえじゃん…。
「理由、知りたいでしょ?」
イカれてやがる。
何で、こういう時にそんな満面な笑みで語れるんだ此奴…。
俺の手が少し震える。
「…ね?ふふ、あのね。私の父親、彩のお母さんと不倫してたの。」
ゆっくりゆっくり、俺は頭の中で整理をする。
「不倫…?」
「そうそう、私のお母さんとお父さん、すっごく仲よくて、すごく幸せだったんだよ。中学上がる前まではね。」
折原の表情が険しくなった。
「でも、彩の母親が、私のパパを………。」
「え…?」
「彩の母親は私のパパの浮気相手。ママ、毎日毎日悩んで、浮気してるんじゃないかって。 だって、すごく仲良かったのに、急に帰ってこなくなったり、香水の匂いがしたりとかしてたんだよ?不安になるよね?」
ね?ね?と折原が俺に顔を近付ける。
ドクン、ドクンと脈を打つ音が、俺の頭を更に真っ白にさせる。
浮気?不倫?
「まぁ、やっぱ浮気だったんだけどね。彩の父親は生きてるかどうかも分からない。彩の母親と彩を捨てて何処かに行っちゃったらしいけど。」
「もう、ママは狂って、彩の母親に何度も裁判よこしたり、何度も何度も嫌がらせをした。でも、パパは彩の母親の味方についたの。」
クスッと笑い、屑な人だったなあと呟く彼女。
「だから、彩の母親と、パパを、うちのママ、殺しちゃった訳。」