教室に入ると、先生に教科書でパコッと叩かれただけで、説教もなにもなく無事に終わった。


「輝と駿狡くない?毎回毎回歴史サボッてませんー?」

「明日小テストだってさー夏休み後でバテバテなのにクソじゃね?」

次々と俺と駿に飛び交う文句。
誰も俺の頭の色には突っ込まなかった。
ま、1ヶ月に1回くれえ変えてるから、慣れちまったのかな。

「てか、今日転校生来たんだよ、知ってる?」

俺が席につくと、腰をかがめて数名の女子が俺の席に群がる。

「あ~?どいつ?」

窓際の一番後ろの俺は、教室が見渡しやすい場所だ。
ん~?なんかほとんどの奴が見たことない奴に見えるぜ…。

「居るぜ、ほらあそこ」

前の席の駿が、廊下側から二番めらへんを指さした。

「あー…?あの、茶髪…?」

駿が指す指の先には、栗色のボブショートの女が一人。
俺が声を出すと共に、その子が俺の方を向いて、ニッコリ微笑んだ。

「お。何だ可愛いじゃん。」

「騙されないで、もう教室入ってきた瞬間、いい感じの男子にアド聞きまくってんだよ?」