「輝っ!!」

ハンカチを持って走ってくる可愛い俺の幼馴染。
心配そうな顔で俺の左頬にハンカチをあてる。

「あんなの、沙羅一人で…」

涙が零れそうだった沙羅に、
格好つけて俺は鼻で笑い、優しく撫でてやった。

「ばーか、女の子だろ?」

そう告げた後に、俺はこう思った。

あぁ、此奴絶対小さい餓鬼みたいに泣きながら縋りつくぜ。
今の俺は傍からみても、此奴らからみても、
イケメンなヒーロー。

そう。戦闘もんだったら、レッドだ。

惚れるに違いない台詞をサラッと言った俺。
まぁこんなに自信ある時、思わなかったよね。

…ドン引きしてるとは。

「さ、行くぞ。遅刻する。」

流石クールな駿は、沙羅の腕を引っ張り俺の横を素通りしていった。