「これ、傑から。あんた、赤点とんないようにしなさいよ(笑)」
「はぁ、実樹より、とってんぞ。期末のテスト。」

あれ、あれれ…

あっ、そうだ。そうだよ、武瑠はクラスでトップで、学年でも上位だ。私より何個か上だ。

「…でも、感謝してよね。」

私は慌てて言葉を出した。傑も、恨んだ。あいつら兄弟は意外と頭がいいんだった。

やられた。

まぁ、そんなことをしていて、私は、帰ろうとした。

そしたら、武瑠が、
「送っていくよ。夜道危ないし。」

そう言って、ドアを出た瞬間

あっ

「おぉー、実樹迎えに来た。」

そこには傑が待っていた。

「兄貴、いたのか。」
「愛しい、彼女を夜道で、一人は彼氏失格だろ。」

何言ってるんだか。さっきだって、暗かったし。
でも、迎えに来たことに、少しだけ、ちょっとだけ喜んでいる私がいた。

「じゃあ、またな武瑠。」

そう言って、私と傑は夜道を歩いた。
空は、満点の星空で、綺麗だった。

「ありがとうな。あいつも、これで赤点まのがれたわ。」
「うちに、恥じかかせやがって、許せないわ。」

そう言って、私は傑の肩をごつんとたたい。
そうすると、傑は笑いながら、私の手を握った。
そして、「ごめん、ごめん(笑)」と、傑は言った。


私は、こんなに小さな幸せが嬉しかった。
私は、こんな感じで傑といることが、二人にとっての価値のあるものだと、感じた。