「あ…、練習中?」



「うん、そうだよ。暑くてさ、水浴びに来た」




ニコッて笑う顔がカッコよすぎて眩しすぎて



「水も滴るいい男ってやつだね」


無理にふざけて笑った。



「ハハ…ハ」



え、壱斗顔赤い…


もしかして…




「壱斗、テレてる…?」


「え、あ、いや…冗談で言ってるってことは、わかってんだけど…」


「冗談、じゃないかも…」




て、何普通の会話してんだ…






「ありがと、また家でな……あ、斎藤呼んだ?」


「え、あ。うん、呼んだよ!」


「そっか、じゃぁ安心。またな」


「あ、うん……」





ごめんね、壱斗。



これから私、他の人と……





「ッく…うぇ…」



胸が痛いよ………












「あ、姫乃ちゃん!行こっか」


「はいッ」



涙の跡も全部消して、化粧を直した。




壱斗のことを忘れるように、笑みを顔に貼りつけた。



佐藤さんも笑ってる。




楽しいよ。


私、幸せなんだー……



*