「話してくれるかい」

「何から話せばいいのか」

 ベリルは、おもむろに問いかけたマークを一瞥し記憶を辿るように視線を宙に向ける。

 田舎町には相応しく、時折車のエンジン音が聞こえる程度で外は至って穏やかだ。

 これなら邪魔は入らないだろう。

 マークは彼の口から語られる話に驚きつつも、少しも聞き漏らさぬようにと耳を傾けた。

 最もマークの関心事だった不死の経緯には、思わず深い溜息が漏れる。

「不死を与える力を持った少女ね。さすがに君にも予想出来なかったか」

 ベリルはそれに眉を寄せ、私をなんだと思っているのかと不満げな顔をした。

 マークは、ベリルが見せた表情に喉を詰まらせる。

 あの頃とは違い、なんて人間くさいんだ。

 僕が知っていたベリルとは丸きり違っている。

 それだけの経験をしてきたのだろうか。