シーンとしているこの部屋
聞こえるのは私の動く音だけ
あーぁ顔が痛い。体も痛い
顔と体には殴られた痕
早くこの血を流さなければ。
私は風呂場にむかい血を流す
切れたところがキリキリ痛む
風呂から上がり、もうあいつがいないことを確かめ自分の部屋に向かう
ちょうど部屋に入ったとき、ドアが開く音がした
「んーもぉっ宗治さんったら」
「早く行こうぜ」
男と女の声がする
女はいつも違う、男は…私の実の父親だ
トントントン
誰かが2階に上がってくる音がする
ガチャ
乱暴に開けられた私の部屋のドア
そこに立っていたのは…
もちろん父親
今から言われることは分かってる
いつものことだから
「おい、今日は朝まで帰ってくるな」
「はい…」
私はこの男に逆らえない
逆らったら…殴られる
私は返事をしてすぐに財布、携帯を持ち家を出る
今日はどこ行こうかな〜と思いながらとりあえず行きつけの店に行くことにした
そこで、運命が変わるとも知らずに…
カランカラーン
「いらっしゃい、流夢ちゃん」
今喋りかけてきたこの男はここのオーナーの 椎名 拓馬さん
私は常連だから顔も名前もしれている
この店だけね
私はカウンターに座る
「いつものでいい?」
「うん」
「今日は来てないの?」
「あぁ、まだ来てないよ」
そんな話をしていたとき
カランカラーン
「はろーマスター。お、流夢もいんじゃん 今日は、はやぇーのな」
噂をすればとはこの事ね
「うん、今日はちょっとね…」
さっきマスターと話してて、今きたこの男は、神田 颯太
私がこの店に通っていたら、友達になってた
まぁ、何も知らないけどね
友達とも言えるかも分からない
まぁ、私は深くは関わらないからいいんだけどね
「流夢、なんか食う?」
「うん、」
「唐揚げでいいか?」
「うん」
いつも颯太はこの店で会うと何か奢ってくれるんだ
「マスター?」
「どうした?流夢ちゃん」
「あのね…言いにくいんだけど…」
マスターは不思議そうな顔をして、こっちを見る
颯太も気になるみたいでこっちを見てる
「あのね…今日、ここに泊まってもいい?」
「「は?」」
2人の声が揃う
「は?流夢なに言ってんだ?」
「いやちょっと事情があってね…」
「流夢ちゃん、俺は全然いいんだけど…本当にここでいいの?」
マスターは心配そうに聞いてくる
「ぅん…でも、お金ないの」
「お金なんて、いいよ!」
「ほんと?ありがとう!」
マスターは心配しながらも、了承してくれた
「まーお前がいいならいっか」
と、颯太も納得してくれたみたい笑
「あっそうだ!」
颯太はなにかを思い出したように言った
「マスター今日な、俺の連れ来るんだよ」
「おーそうか、楽しみだなー」
颯太の連れか…
どんな人なんだろ?
まぁそんなに気にもならないけどねー
「流夢、お前も一度あってみろよ」
「え?あ、うん。ってゆうか私今日ずっとここにいるし会うことになるでしょ」
笑いながら言う
さっき言ってたのにもう忘れたの…
「あ、そうだったな!」
と颯太も笑いながら言った
その後、3人で喋っていた
プルルプルル
「あ、俺か」
颯太の携帯が鳴った
「あっ、もしもし?うん、今そのBAR
うん、え?もう着く?おう、分かった」
電話を切った颯太を見る
「もうくるってよ」
颯太が嬉しそうにそう言ったとき
カランカラーン
誰かが来た
「お、来たみたい」
え、早くない?電話切ったのさっきだよね?どんだけ近くに来てたんだー笑
「マスター紹介するわ」
颯太がそう言って後ろを向き颯太の友達を前に出した
「この頭が赤いのが 浅田 竜」
「うっす」
「んで、この真面目そうなのが波間 颯」
「初めまして」
「んで、この可愛いのが、朝倉 春」
「もー可愛くないよっ!こんにちは♪」
「あー…で、おい憐こっち来いよ」
みんなイケメンだなーって思いながら見ていたらまだ後ろに誰かいたらしい
タバコを吸いながら出てきた男を見て固まった
みんなイケメンだけど、その男はみんなよりイケメンだった
「で、こいつが黒瀬 憐」
颯太が紹介している間もその男から目を離せない
鋭く細い切れ目に、高い鼻、キレイな形をして程よく薄い唇
これは世の中の女がほっとかないな
しばらく見惚れていたけど、男と目があったので途端に逸らし、カクテルを飲んだ
「じゃあ、ここ座って」
と、颯太が友達に言う
「はーい!」「はい」
と2人だけ返事をし、カウンターに座る
私の隣には何故か颯太と黒瀬さん
黒瀬さんの隣に波間さん
波間さんの隣に浅田さん
そして颯太の隣に朝倉さん
なんで私は挟まれているんでしょうか
「流夢、なんか食うか?」
颯太はまた、聞いてきた
「ううん、まだ唐揚げ残ってるし」
「そうか」
喋ることもなくなりボーッとしていると
「おい」
何故か黒瀬さんが喋りかけてきた
「はい?」
「お前名前は?」
「岸夜 流夢です。確か…黒瀬さんでしたよね?」
「あぁ、憐でいい」
「えっでも…」
と言いかけたけど、「憐でいいって言ってんだろ」みたいな顔で見られたので
「はい…」
と言っておいた
それから黒瀬さ…いや、憐と色々喋っていた
だから、私と憐の様子を見て目が飛び出るほどびっくりしていたみんなには気がつかなかった
それから数時間、ずっと憐と喋っていた
「もうそろそろ帰るか!」
颯太が眠たそうに言った
そりゃそうだ、なんだって今は2時を回ってるんだから
「うん、帰ろー」
朝倉さんが言った
「流夢、お前家どこだ?送ってく」
「あー、大丈夫です。今日はここに泊まっていきますから」
憐にそう言うと「は?」みたいな顔をされた
「は?ここに泊まってくのか?」
「はい」
そうか…と憐は何か考え込むように言い
いきなり「携帯かせ」と言ってきた
言われた通り携帯を貸すと「はい」とすぐら帰ってきてポカーンんとしていると
「なんかあったらかけてこい。いつでも出てやる」
そう言ったので、連絡先を交換したのだと理解できた
「なにもないと思いますけど…ありがとうございます」
「おう、じゃぁな」
そう言って憐たちは帰っていった
憐たちが帰った後、私は眠たくなったのでマスターに布団を借りすぐに寝た
ぴよぴよ
と聞こえてくるわけもなく、目が覚めた
今何時だろ…?
8時38分か…もうそろそろ帰っても大丈夫かな
そう思い重たい体を起こし、マスターのところに行った
「あ、流夢ちゃんおはよー」
「おはようございます」
「なにか食べたいものはある?」
「いぇ、朝は食べないので…」
「…そっか」
なんか悪いな…
「あ、あのそろそろ帰ってもいい時間だと思うので帰りますね」
「あ、うん!また来てね」
「はい、お世話になりました」
お礼を言い家に帰った
ガチャ
「ただいま…」
父親に帰ってきたのがバレないように静かに入る
階段を上り自分の部屋へと入った
そのままベッドに倒れこんだ
「あーお風呂入らなきゃ」
昨日入れなかったしね
お風呂セットを持ち風呂場へ向かった…
15分後お風呂から上がり携帯を見ると着信が。
誰だろ?と思い相手を見ると《憐》
え、憐?!
かけ直そうか迷っていると
プルルプルル
《憐》
あっ、憐だ!
「も、もしもし」
『流夢?俺…』
「あ、はい。どうかしましたか?」
『今日あいてっか?』
「あ、今日ですか、空いてますけど…」
『んじゃ、1時ぐらいにお前んち行く』
「は?え、あ、あの…「プープー」
え、切れた…
えーと、遊ぶってことかな?
1時か…まだ時間あるなー
眠たいからちょっと寝よう
お休みなさい