ずっと貴方と~暴走族と甘い恋~





ジュウー



「あ"ーーーーー」



いつも殴られて終わりだったはずなのに今日は違った



根性焼きだ



今までに味わったことのない尋常じゃない痛み



「はぁ」



気が済んだのか父親は息を吐くと部屋を出て行った



根性焼きがあまりにも痛くて動けない



幸いわたしはベッドの上でやられた



だからこのまま寝ることもできる



痛みを忘れるため寝ようと思ったとき



ブーブー



電話がなった



でも、今は動けない



だから電話を取ることもできなかった



助けを求めたかった



辛くて辛くて。



こんなとき浮かんでくるのは憐の顔



憐…会いたいよ、助けて?



こんな心の声も届かず、わたしは意識を手放した







その日から私は、部屋から出すことを禁止された



私がこんなことをされ始めたのは、私が物心がつき始めた時…







私の母親は私を助けるために死んだ



その日、家のチャイムが鳴った



幼いながらに賢かった私は1人でお留守番



いつもの事だし、両親は共働きで私のために働いてくれている



だからお留守番なんてへっちゃらだった



玄関に行きドアを開ける



ボコッ



お腹をいきなり殴られた



意識が遠くなり最後に見たのは男の歪んだ笑顔だった







お腹がズキズキと痛むのをおぼえ目が覚めた



あれ…ここ、どこ?



私がいたその場所は窓が一つしかなく簡単に言えば監禁場所。



幼かった私にはわからなかったけどね



しばらくするとドアがあいた



「よぉ流夢ちゃん?こんにちは」



意識が無くなる前にみた男が立っていた



「誰ですか?」



「僕はねぇ君の両親のお友達だよ」



「お友達ー?」



「そうだよ」



男は気持ち悪い笑顔を見せた







バタンッ



男が笑顔を見せた直後ドアが勢い良くあいた



「「流夢!」」



そこにいたのは私の両親



「あ!お母さんお父さん!」



私が両親の元へ歩いて行こうとすると男が私のうでを掴み引き寄せた



「だめだよ、流夢ちゃん」



そういって私に近づけたもの…



それは、ナイフだった



「何するのよ!」



「やめろ!」



お父さんとお母さんは叫んだ



「いやだね、僕はすべてを捨てるんだ」



「君は誰なんだ!どうして家を狙う?」



「この子に一目惚れしたからだよ」



男は言った



「何を言ってるんだ!この子はまだ子供だぞ!」



「そうだね、でも僕は好きになってしまったんだ。だから死ぬなら一緒に死のうと思ってね」



「ふざけないでーー」



その言葉を発したお母さんは私に向かって走ってきた



「こっちへ来るなー」



そう言って男は私に向けていたナイフをお母さんの方に向けた



グサッ



「う"っ」



「流奈!」

「お母さん!」



お母さんを刺した瞬間お父さんが男の方に走り男を殴った



男は気を失い倒れる



その間にお父さんが警察に連絡をし、男はたいほされた







その後すぐにお母さんは運ばれた



でも、もう遅かった



その日からだ。お父さんが暴力を振るうようになったのは…



殴る時はいつも言うんだ
「お前のせいだ。お前が殺した」って



私は謝ることしかできなくてただ謝りながら殴られる。そんな日々を過ごしていた



だから全ては私が悪いんだ







憐「もうあんなこと言うな…」



いつもの強い憐はそこにはいなくて。



こうさせてしまったのは自分なのだと思うと本当に後悔した



流「うん。絶対言わない」



憐から離れ顔を見る



まだ悲しそうに顔を歪めている



私の目も見ない



そんな憐の頬に手を添える



すると憐の肩が微かに揺れ、私を見た



その目は悲しそうに揺れていて、不安そうに私を捉えていた



背伸びをして、憐の唇にそっとキスをした



憐はびっくりして目を見開いている



そんな憐を気にせずにキスを続ける



すると憐も私の腰に腕を回し、キスに応じた







部屋から出れなくなって一週間



携帯も取り上げられ何もできない



ガチャ



あ、父親が帰ってきた



最近あいつは夜になると家を出て行く



だから今日、私は逃げようと思ってる



いつものように酔って帰ってきた父親がリビングに入るのを見届ける



その隙を狙って私は走り出した



どこまでも走った



もう父親に見つからないように



ここまで来れば大丈夫だろうと思い止まった



そこは公園



連絡しようともできない。携帯はあいつが持っているんだから



この一週間あいつはわたしを殴り続けた
そして根性焼きもした



もう私の体はボロボロだった



これからどうしようかと考えていた時



「誰だ」



どこか安心する声



ドンドン近づいてきた



「流夢⁈」



あ、憐だ…
憐の声を聞いて安心したのか私は意識を手放した







眩しい光に目が覚めた



ここ…どこ?



しばらくぼーっとしていると



ガラガラ



「流夢⁈起きたのか!」



憐が入ってきた



「憐…」



憐は近づいてくると私を力いっぱい抱きしめた



「…れ、ん…ぐる"じい"ー」



憐は力加減なく抱きしめてくるので苦しくて仕方が無い



骨が砕けそうだし…痛い。



いくら苦しいと言っても離してくれない憐



「どーしたの?」



「まじ心配した…」



「てかここどこ?なんでここにいるの?」



憐は抱きしめたまま話してくれた



「ここは俺の家だ。で、お前がここにいるのは公園でお前を見つけたら倒れたんだ。だから連れてきた」



らしい…



「なぁ、どうしてあんな時間にあんなところにいたんだ?」



憐は悲しく瞳を揺らし私に聞く



「…ぃゃ。」



私は小さくそう吐き言わんとばかりに首を振る



そんな私を憐はなだめるように頭を撫で言った



「大丈夫。どんな闇でもお前を救ってやる。」



力強く私を見るその目を見て、私は初めてこの人なら信じれると思った



「軽蔑しても知らないよ?」



そう言って私は全てを話した



お母さんのこと、あいつに殴られること、最近根性焼きもされること。



全てを話し終え憐を見る



「ごめんな。もっとはやく気づいてあげればよかった」



憐は私を軽蔑することもなく、そう言ってくれたんだ