「引っ越して来たんだよな?どっから来たの?」
「静岡から……」
「本当に?俺も静岡出身。どの辺住んでた?」
しくったー。
違う県言っとけばよかったかな。
でも、出身地以外なんて突っ込まれたら終わりだし。
「どこだったっけな~」
さりげなく、私の手の上に彼が手を重ねた。
「まあ、ド忘れすることもあるよな」
横から瞳を覗き込むように笑顔を向けた。
「そっ、そろそろ、私、帰りますね」
「悪い。引き止めちゃったな」
「いえ、楽しかったです。お茶ごちそうさまでした」
私は逃げるように帰った。
アウト?セーフ?
真相は分からないけれど。