寒い冬も終わって暖かい春になる。
それは嬉しいようで悲しかった。

春といえば“別れの季節”だから。

今まで共に過ごした仲間との別れ。

__なんて卒業するわけでもないけど。

なんて自分に自分で突っ込みを入れる。
中3になった私、
増田 れなは今独りだった。

だけどそれだけ中学2年生は楽しかった。
恋こそできなかったけど……。
だけど一緒にいる仲間が温かかった。


1番仲が良かったのは、原田 みゆ。
人1倍正義感の強い彼女は
人見知りの強い私にも優しくしてくれた。

だけど彼女は父親の転勤により
広島から京都に引越してしまった。

彼女がいつもいた前の席には
知らない人の背中しかみえない。
笑顔が見えない。
温もりが感じられない。
私に向けられた大きな背は、私の孤独を
嘲笑うかのように視界を遮った。



だけど私にはまだ仲間がいる。

私たちは藤間 りょうとも仲が良かった。
藤間は2年の終わりから生徒会長に
就任されるぐらい真面目だった。

藤間が時々はっちゃけたときはすごく
笑えるんだ。
みんな笑ってたと想う。
あんな人だから生徒会長は務まる、
そう中2のときに語り合った。



藤間のことを語った、川辺 はやと。
男子で1番心を許せる仲間。
はやとは優しくて、
いつでも話を聴いてくれる
近所の幼馴染だった。

はやとと藤間が一緒にいると周りの人は
笑顔になる。
小さいときから彼は
私にとっての魔法使いみたいだった。