「家までお願いします」



「分かったわ」




樋田さんに家まで送ってもらいお礼を言った。












「ただいま」


時計は9時を過ぎていた。


「おかえりなさい」



玄関にはお母さんとお父さんと、








えるちゃんがいた。






「あのね、前にも言ったとおり私とお父さんと絵里子ちゃんと旦那さんでフランス旅行に行くの」


「あたしはモデルの仕事があるから行かないのよね?」



「…えぇ」


「じゃあ、崇は?」





しばらくの沈黙。破ったのはえるちゃん。


「崇はね…アメリカに留学中なの」



「えっ!?」



いきなりのカミングアウトに驚いた。



「どういう事?」



「崇は中学生になると共に留学したの」



そんな…あたしを避けるために日本を出るなんて…



そんなにあたしを…嫌ってたのね。




あたしは悔しくて涙をこらえることしかできなかった。