「すみません。今度からは気を付けます」



「はい、お願いします」




物腰の柔らかい店長はそう言うと、調理場の方へ戻って行った。


どうやら、新作のパンを幾つか作ってるみたい。


「…でも、里莉ちゃん。何で髪切ったの?」


「………ぁ~…。気晴らしです。これから暑くなるし…」


髪の事を聞かれて、本当の事を言うのも何だかはばかれてしまい、私は誤魔化す事にした。



「そうなんだ。…てっきり、里莉ちゃんの彼氏が短いのが好みなのかと思った」


「…え…?」





翔嘉さんの言葉が上手く理解出来ずに、キョトンとしてしまった。





彼氏? 好み? 何が?


「この間、お店に来た男の子でしょ? 里莉ちゃんの彼氏」


「……………」

否定も肯定も出来ずに、私はただ視線を逸らすだけ。