この時間なら20分後に来る電車に乗らなきゃいけない。もちろん、それに乗っても遅刻は決定なんだけどね…。






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「す、すみません…。遅くなりました」




バイト先に辿り着いたのは、10分も過ぎていた。…最近は見掛けなかった店長が、そこにいたのにはビックリしたけど、軽く注意されただけですんだ。


「ビックリしたよ。里莉ちゃんが遅刻するなんて、思ってもみなかった」



使用したトレーにアルコール消毒を振り掛けてふいていく作業をしていると、翔嘉さんが笑いながら私に話しかけた。


「ご迷惑おかけしました」
「いいよ。電話もくれたし」


背後からかけられた声の主は店長。若く見える男性だけど、実際、幾つなのかは未だに教えてくれないらしい。