「…何だ…。俺にでも言えない事か?」



何も言えなくて、顔を俯かせていると、先生は溜め息を吐くのが分かる。




けど、先生にも言えないよ…。


バイトしてる時点で、先生に言えないもん。






「先生~! こいつ、俺の彼女になったんだよ。だから、焼き入れされてさ~」




ズシッと背中に重みを感じて、私はとっさに前に倒れそうになりそうになった所に誰かの…樋高先輩の両手で支えられる事となる。


「樋高…? 付き合ってたのか?」





先生は目を丸めて、私と先輩を何度も見比べる。



「…マジかよ? 桜井、悪い事は言わない…早く別れた方がいい。お前ならもっといい奴はいるぞ!?」



…そう言って、私と先輩の交際に若干反対を申し立てた。



もっと言ってよ!! って、言いたかったけど…耳元で「バイト、バレたくないよね」って、囁いてきやがった!!




あ、悪魔だわコイツ!!


「な~に言ってんだよ~。俺らちょ~ラブラブなんだからさ~!」




ワザとだ…。