切ったばかりの髪のせいで、首筋が丸見え…そこから、沢山の人の視線を広い集めてしまう。
何人か集まって、ヒソヒソと私の方を見ながら何か囁きあっている。何を話しているかまでは聞こえないんだけどもたぶん、私が誰だって言う事で…おまけにこのメイクが合わないって事なんだろうな…。
「櫻井?」
「香川先生…」
声を掛けられて振り返って、そこにいたのは副担の香川先生だった。
臨時教師としているけど、年が私たちに近い分、生徒達と仲もいい。
その先生に躊躇なく、私の名前を言い当てた。
「切ったんか? 随分長かったのに…思い切った事を…。……何かあったのか?」
普通に喋っていた先生が私の顔を見て、顔を強張らせたのが分かった。
原因は分かる…私のこの化粧と、うっすらと目を凝らさなきゃ分からない青タンに気付いたんだろうな…。