何で、ここで心臓が高鳴るのよ…。



己の心臓ながら、訳が分からないわ…。



「里莉? どうしたんだ?」



「…べ、別になんでもありません。先輩こそ、いつまでついて来るつもりなんですか?」





さっきまで湧き上がっていた気持ちがなんなのか、分からないまま私は不審者のように先輩を見る。





「こんな姿になった私と一緒にいたら確実に、先輩がしたって言ってるようなものですよ」



冷たい視線で先輩を見つめて、言い放つ。辺りから時々ではあるけど、視線と小さい話し声。


「でも、里莉を一人にする訳にもいかないだろ? …それに、駅とは違う方に行ってるし…」




一度だけ駅まで送ってもらった事があるけど、覚えていたのか…と関心と呆れが混同してしまう。



これから行く所は、確かに最寄りの駅ではない。けれど今の時間帯は、授業が始まるか始まらないかの辺りだもの。