私は唯一、無事だった鞄から眼鏡ケースを取り出して、予備に持っていたフレームなしの眼鏡を掛けた。
まだ昼休憩だけど…こんな姿になってまで、授業に出ようとは思わない。
「里莉? どこに行くんだよ?」
そんな先輩の声も無視して、私は無言で歩いて行く。
校門から出るかでないか辺りで、携帯を取り出して電話を掛けた。
「……ぁ、太一君? 久し振り。今からそっち行ってもいいかな?」
電話の相手から楽しげに笑いながらOKをくれたから私は、再び歩き出した。
「里莉!! まてってば!」
「……何ですか?」
ボロボロになったのは私だけだけど、制服や教科書とかは無事だったのが唯一の救い。
そして一番不必要なのは、この先輩の大が付くぐらいの大きなお世話。