「里莉ってば!!」
「っい…!?」
いきなり肩に痛みが走って、私は顔を歪ませて後ろを振り反った。
そこにいたのは、樋高先輩だった。
「…も~、俺が呼んでるのに無視すんなよ~」
笑いながら私を見る先輩は、悪びれる様子がなかった。
それが、私にはムカつく要因でもある。
掴まれた肩の手が離れたのを見た私は、先輩を一瞥して再び歩き出した。
「…オイオイ…何無視してるんだよ~」
私の横に並んで、一緒に歩き出した。
そんな先輩に苛立ちを隠しながら、無視しながら早歩きをする。自分が何をしたのか分からないのかと、言いたかったけど何も言う事が出来なかった。
言ったって無理だもの。それを分かっているから、これみよがしに溜め息を吐いて少しだけ不満を訴えた。