元に戻るの…ヤダな…。


でも…あのランチバックは…。


「………はぁ…取りに行くしかないか…」


深い深い溜め息を一度だけ吐いて、ゆっくりと歩き出した。

ちょっと戻るの…やっぱり…すごーく嫌だな。
曲がり角に曲がる時、まだ先輩がいる気がして緊張する。


「………なせばなる…かな…」

勇気を出して、足を一歩踏み出した。
目の前には、信じられないモノが広がっていた。


…目の前には、先輩と知らない…と言うか、顔が見えないんだけど…女子生徒とキス…してた。


キスはキスでも…かなり、濃厚なモノで…。

おまけに…おまけに、先輩の手が女子生徒の白い太股に…白い肩に…。



う、うそ…!? 何これ! 何で、目の前でこんな事がおきてるのよ!?


「…………」

目が…合った。
女子生徒と目が合った。


…でも、私と目が合っても何ともないようで、逆にニヤリと見せつけるように笑った。


私は、その場にいる事がいたたまれなくなって、何も取る事もせずに、私はそのまま来た道を逆戻りしていった。


…呼吸が…乱れる…。