空になったお弁当を受け取ろうとして、とっさに怪我をした方の手で受け取っちゃった。
怪我した所を中心にして、痺れと痛みが体中を走る。
い、痛い…。
ジンジンする痛みに引き寄せられて、涙が込み上げてきた…。
けど、私はただただ、その涙が零れ落ちないように堪えるだけ。
こんな所を先輩に見られたくないもの。
「どうしたんだ?」
「……いえ……」
…ほら、やっぱり。
私の事に興味なんてないんだよ。
なのにこうやって、中途半端でな優しいのか冷たいんだか分からない態度を見せ
るから、誤解する人が多いだろうし、親衛隊みたいな人がそんな人達を攻撃するんじゃないの。
「里莉。俺、明日の弁当の中に唐揚げが食べたい!」
……先輩は、こうやって勝手にリクエストをするけど…それに答えようとする私ってどうよ…。
先輩が平らげたお弁当をランチバックに入れながら、溜め息を吐く。