白い長袖シャツからはみ出て手の甲まで覆う包帯は、先輩に絶対見えてる。


なのに何も言わない。



最初、私のこの包帯を見たのも知ってる。

けど、何も言わない。


でも、私も何も言わないでいる。


だって、言った所で何かが変わるなんて思えないもの。

怪我した所が利き手じゃないのが、不幸中の幸いかと思いきや、以外と不便だわ。



「…里莉? 今度、この量の倍作ってきてよ」


進まない私のお弁当とは対照的に、先輩の方はすでに空になっていた。




「食べるの、早いんですね」


「だって、足りないし里莉の弁当、美味いし!」

「あぁ…はい。!! ッう……」