カメラを持って、撮り出すのは香輝だ。
中学生になって、背も高くなって私を超してしまった。最近ではカメラに凝っているみたいで、イイ被写体があればここぞと撮り出す。
「姉ちゃん!! もっと笑って!!」
病弱だったとは思えないぐらい健康体となった香輝は、低くなった声で私を笑わそうとする。
「里莉…」
礼司さんの腕に絡ませて、ゆっくりと歩き出す。
神前に立つ私たちは、将来を誓い合う。
けど、私は神様には誓わない。それは礼司さんも同様だ。
目に見えない人にお願いしても、空しいだけ。
それに気付いたのは、何年前だったかしら?
誓いのキス。
合い変わらすキスは、恥ずかしい。それを知ってる礼司さんは、私の額にキスをしてくれた。
それでも、嬉しい反面恥ずかしい。
「…幸せになろ?」