けど、少ないながらも何とか顔を合わせられる僅かな時間を話し合いに費やしていった。
「…お時間です。扉が開きます」
ドアマン…ではなく、ドアウーマンのお姉さんがニコニコと笑いながら扉を開く。
少し先に、真っ白のタキシードを着て立つのは礼司さん…。
や、やだ…。涙がもう、込み上げて来るよ…。
「…行くぞ……」
兄さんに引っ張られるように歩き出す。
近付く礼司さん。
違う、近付いているのは私…。
ユックリ、縮まる礼司さんとの距離が、もどかしくて、焦れったくて…。
微笑む礼司さんにはやし立てられる気持ちを堪えて、辿り着いた。
礼司さんの隣り。
兄さんから離れ、頭を下げる。兄さんには感謝しかない。
パシャッ!
フラッシュがたかれて、目が少しチカチカする。