「大事な話がある」
そう言うと、兄さんはもう一度私を見て、車を止めてるであろう所に歩いて行った。
これから本家で何を話するんだろ…。
以前なら、兄さんと話をするのが怖くて仕方なかったのに今は、ほんの少しだけど…緊張する。
「…何だろ、ね?」
「………何でしょうか?」
必要以上な事はあまり喋らない兄さんだから、本当に大事な事なのかと身構えてしまう。
それは先輩も同じなのか、頬辺りが緊張で少し引きつってる。
「…悩んでも仕方ない。行こう」
「あ、はい」
いつの間にか手を繋がれて、歩き出す先輩の横を私も歩く。
沢山の同級生から、別れの声をかけられ…それに答えながら私は、兄さんが待つ黒塗りの車に辿り着いた。