卒業式が終わって、教室へ戻った私にクラスの中で仲のイイ子に、声を掛けられて頷くと嬉しそうに笑いながら写真を撮り出す。






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寒い空気が吹き抜けるグラウンドに出て、また写真を取り出す。



「櫻井さ~ん♪ こっち向いて~!」



何? って思って振り返ったら、カメラのフラッシュがたかれて、目が眩んだ。



「…ぁ…。ビックリした? ごめ~ん!!」


「ううん…。大丈夫」




未だにチカチカする目を細めて私は答えた。



「里莉…」



「……………兄さん…」


アメリカで仕事をしてるはずの兄さんが、何で…。


「樋高礼司から聞いて来たんだ。連絡しろとあれほど言ったはずだぞ…」



少し、困った顔をして笑う兄さんに、私は「ごめんなさい…」と小さく謝った。




…そうなんだ…。電話なりメールなりと用件を言おうとすると、何と書けばいいのか悩んでしまう。






一応、卒業式がある事は知らせたんだけど…。まさか、来るとは思わなかったよ。


「せ、先輩は何て、言ってたんです?」


「『妹の卒業式に来ないつもりなのかッ!?』って、メールに入ってた」



「…せ、先輩ィ…」